【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】我が息子の喧嘩列伝!!(笑)

2015/01/28 11:00

しらべぇ溜池ゴロー

ワシは「喧嘩」が嫌いである。殴り合いの喧嘩も口喧嘩も痴話喧嘩もすべて嫌いだ。喧嘩ほどでなくても、人との争いごと自体が好きではない。

自分の喧嘩嫌いの原因は、なんとなくわかる。ワシは小学生の頃は、クラスで前から2番目くらいに背が低く、とても気が小さい子供だったので、たまにイジメられたりしたこともあり、できるかぎり友達とのぶつかり合いは避けようとしていた。

おまけにちょっと複雑な家庭環境で、ワシの父親と祖母が喧嘩をし、祖母が家出するときに何故か一緒に連れて行かれた。祖母と二人暮らしの時期もあれば、親戚の家に居候的に暮らしていた時期もある。

なので、計4つの小学校に通ったのだが、転校する度に学校によってはちょっとしたイジメのような洗礼を受けたし、東大阪から横浜の小学校に転校したときには、周囲はみんな標準語を話しているし、横浜の小学生たちのお育ちというかセンスがとてもよろしく、ワシの中でコンプレックスのようなものがしっかりと出来上がったものだ。

そんな状況の中では、当然周囲と少しでもことを起こさず無難に過ごすことを願うようになる。よって、ワシは喧嘩嫌いになったと思われる。そして、大人になった今でも争いごとはほとんど避けている。



 

喧嘩しておけばよかった

もちろん、そのことが全て悪いとも思ってはいない。そういう子供時代を過ごしたことで、まず目の前の相手の気持ちや心を考える癖がついているし、相手との距離感や空気感にやたらと敏感だったりもする。

これらのことは、AV監督という現在のワシの仕事に大いに役立っている。ワシの仕事は、人間観察と場の雰囲気をコントロールするなどの能力が結構重要であると思っている。なので、今ではあのときの状況を与えてくれた祖母と親に感謝している。

ただ、もう少し思い切った喧嘩を子供の頃にしておけば良かったと思うときもたまにある。それは、大人の喧嘩と違って、子供同士の喧嘩は、場合によってその後の人生のためになることもあるような気がするからだ。

例えば、自分の意見をハッキリ言える人間になるとか、自分の主張をしっかりできるようになるとか、相手との距離間を見れるとか……なので、子供時代は自分を抑えて無理に我慢して嫌いな相手と仲良くする必要などないと思っている。自分も幼い頃、できればもっと言いたいことを言えたり、自己主張ができる時期を過ごせれば良かったかもしれん。

てなわけでワシは、息子が生まれてから10歳になる現在まで、息子の喧嘩はなるべく見守ってきたつもりだ。今回は、今まで息子が起こしてきた喧嘩騒動を書くことにする。


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島の小学生と息子が決闘

息子が保育園年中さんの夏。家族で石垣島周辺を旅している途中、竹富島という島によった。その日はたまたま、竹富島唯一の小学校で祭りというかイベントがあった。屋台もたくさん出て、沖縄のバンドが校庭の特設ステージで演奏していた。

息子は、はしゃぎ回り、さっそく校庭で遊んでいる地元小学生たちに混じろうとしたのだが、地元の子供たちも「よそ者感」を感じていたのか、なかなか仲間に入れてもらえない様子だった。息子は、そんなことにもめげず、友達を作ろうと小学生たちに片っ端から声をかけていた……見ようによってはナンパの訓練に見えなくもない光景だった(笑)

やがて息子の努力も実り、小学校2年生の男子と一緒に遊びだした。聞くと、その男子は先日この学校へ他の地方から転校してきたばかりだそうで、まだ学校の友達になじみきれてないらしい。だから、友達を作ろうと一生懸命だったワシの息子に優しくしてくれたのだろう。仲良く遊ぶ二人の姿をワシら夫婦は遠くから微笑ましく見ていたのだが……

そこに5~6人くらいの子供たちがやってきた。どうやら、息子と遊んでくれている子と同じクラスの男子生徒たちらしい。やってきた中のリーダー格的な雰囲気の子供が、息子と遊んでくれていた男子に言った…「おい、こいつ(ワシの息子)誰だよ?」…ワシら夫婦は、息子と一緒に遊んでくれていた男子が、息子を友達みんなに紹介してくれると思い込んでいた。

しかし、その男子はこう言った……「ん? 知らない子だよ」と。きっと、まだ引っ越してきたばかりで、クラスの友達からヘンに目立ちたくないとか、よそ者感のある子と一緒に遊んでいたのを知られたくないとか、少年なりにいろいろな迷いがあったのだろう。

ワシら夫婦は、そりゃないよなと思いながらも、なんとなく少年の気持ちを察してやろうと思ってはいたのだが……当然、ワシの息子はそうもいかない。怒り心頭の様子で……

息子「知ってる子だよ! お友達だよ!」

それを聞いた小学生たちは、「何だお前? どっから来たんだよ?」とか「チビ」だとか「坊主頭」だとか、ワシの息子をからかいだした。するとワシの息子は皆にむかってこう言った……

息子「そんなこと言ったら、決闘だよ!」

け、決闘!!!??? いつそんな言葉を覚えていたのか…というより、年中さんの男子が、小学校2年生男子の集団に向かって、そんなことを言ってる姿が、思わずウケてしまった(笑)「お前は男一匹ガキ大将(ちょっと古い?)か!?」とワシが心の中でツッコミを入れていると…

突然、息子がリーダー格の男子の尻を後ろから思いっきり蹴飛ばし、ダッシュで逃げだすではないか! リーダー格の男子は、「てめえ! オレにむかってそんなことしやがったな!」と、これもまたどこで覚えたんだ?とツッコミたくなるような台詞を叫び、ワシの息子を追いかけだした。

いざとなったら止めに入るつもりで、ワシら夫婦はギリギリまで観察していた。必死に逃げる息子と追っかける男子。彼が息子に追いつくのは時間の問題だった。捕まったら当然力の差があり、息子の抵抗も限界があるだろう。さあ、どうなるのか……


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待っていたのは爽やかな展開

しかし、面白いもので、ワシの息子が必死に逃げているのを追いかけているうちに、年下の子を追いかけている自分のバカバカしさに気づいたのだろう……そのリーダー格男子は、追いかけるうちに笑いだし、追いつくと、息子にじゃれ合うように遊びだした。

と同時、その友達たちも一緒に遊びだし、みんなでサッカーをやりだしたのだ。しかも皆で遊んでいる間中、息子に一番あれこれと世話を焼いているのは、そのリーダー格男子ではないか。

「やっぱ男子はおバカさんで可愛いよな」としみじみ感じながら、ワシら夫婦はその光景を酒飲みながら見ていたのだが……ん?何かが足りないのではないか?と思っていたら……そうだ、息子と最初に友達になってくれた少年が輪の中にはいないではないか……

ワシは、彼の気持ちを想像してしまった。自分だけを守ろうとして、年下の子供(ワシの息子)を裏切ってしまった自分の情けなさで、皆の輪の中に入れないでいるのではないだろうか?

しかし、ワシはその男子の気持ちはよくわかる。転校してきたばかりの子供にとって、周囲に混ぜてもらえなかったらどうしようという気持ちは恐怖にも近いくらい大きなものだ。ワシはその男子がどこにいるか周囲を探したが、姿は見当たらなかった。ワシは、ちょとした寂しさを感じながら、その少年にも心の中でエールを送っておいた。

翌日、竹富島を離れるワシら家族は、宿の車で港まで送ってもらった。途中、写生道具を持った地元小学生たちが列をなして歩いていた。その中には、前日祭りで息子と遊んだグループの子供たちがいたらしく、一人が車の中の息子を見つけると、みんな手を振り、息子の名前を大きな声で呼び続けてくれた。

「喧嘩をして仲良くなる」というとても爽やかで理想的な世界がまだ子供達の中にはあるのだなと、うらやましく思いながらワシらは竹富島を後にしましたとさ。

続きは次回。

(文/溜池ゴロー

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