我が息子の喧嘩列伝!!(笑)その2【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】
前回、「喧嘩をして仲良くなる」という美しい世界がまだ子供社会にはあるということを書いたが、なにもワシは「暴力」を礼賛しているわけではない。喧嘩などできればしないほうがいいし、できるなら暴力などは使わずに問題は解決した方が良いと思っている。
それを前提にした上で、皆さんにお聞きしたい。
もし、自分の子供が友達を殴ってしまったとしよう。さて、あなたは親として子供とどう接する? 殴ったことに対して怒る方もいれば、断固として暴力はいけないと教える親もいらっしゃるだろう。
■殴った原因が「いじめへの報復」だったら?
しかし、もし殴った原因が「いじめられ続けていたことへの報復」だったらどうだろう? 毎日数人のいじめっ子達にいじめられ続け耐えられなくなった自分の子供が、抵抗のために勇気を出していじめっ子のリーダーを殴ったとしたら……。
多分、「抵抗するために勇気を出した」ことに関しては褒めるべきだという親は多いのではないだろうか。ワシも親としてこの状況なら、イジメに抵抗した勇気に関してはきっと子供を褒めると思う。では、「殴った」行為に関してはいかがだろうか?
これに関しては意見がきっと分かれると思われる。「勇気はほめるが殴ること以外に手段があったのでは」と子供に問う親もいれば、「相手が先に卑怯なことをしたのだから、殴りかえして当たり前だ」と子供を褒める親もいるだろう。
中には、「リーダーからの仕返しでもっとイジメられるのでは?」と心配する親もいると思われる。どうであれこのケースでは、その後も続く「自分の子供」と「イジメっ子たち」との「関係性」を学校や先生にも相談しながら、注意深く見守ってやる必要がある。
なぜなら……抵抗して殴ったことによって、今までの「イジメられ続けた」&「イジメ続けた」という「関係性」が一気に変わりイジメがなくなったとしたら、素晴らしく理想的な結果ではあるのだが……すでにできあがってしまった「関係性」を覆すのは、そんなに簡単なことではないように思われるからだ。
皆さんもお分かりだろうが、人と人との「関係性」が一度できてしまうと、それを変えることはなかなか難しいし労力がいる。そのことは、大人だけでなく子供同士にも言えることだろう。
関連記事:【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】我が息子の喧嘩列伝!!(笑)
■子供の人間関係も「最初」が肝心
なのでワシが思うに、まだ子供同士の関係性ができあがる前なら「喧嘩して仲良くなる」という理想的な世界が訪れる可能性は高いだろうが、すでに「問題のある関係性」が出来上がってしまってからでは、その可能性はかなり低くなってしまうのではないだろうか。何事もそうだろうが、問題は早い段階で解決した方が良いということだ。長引かせてしまうと、どんどん難しい問題になっていく。
だからワシは、息子には保育園の頃から、誰かに何かを仕掛けられたときは「最初が肝心」だということを伝えていた……誰かに意地悪されて言いたいことがあったらその場で言う。自分と同じ歳以上の男子から手を出されたら、その場でやり返す。イジメにあったらその場で抵抗する……
それによって、仕掛けてきた子供の中に「あ、こいつは簡単ではない」という認識ができる。その認識ができると再び攻撃をしなくなる確立が高くなると思ったからだ。
関連記事:息子を強くて優しい男にするためにワシが考えたこと【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】
■息子が小学校にあがったときの話
そのことが影響しているのかどうかはわからんが……息子が過去喧嘩を売られたときの対処がどうだったか、2つばかり書きたいと思う。ひとつは、息子が小学校入学後すぐのことだ……
その年その小学校に入学した生徒には、たまたまワシの息子と同じ保育園出身の子供が一人もいなかったのだが、息子はそんなことはあまり気にもせず、新しい友達をつくることを楽しみにしていた。そして入学式を終え、翌日の授業が始まった初日に、息子は見ず知らずの同級生4人組にカラまれたのだが……。
その4人組は、同じ幼稚園を卒園した仲良しグループだそうで、まだ小学校のクラスの皆が友達になる前の段階だったから、休み時間は同じ幼稚園卒園組でつるんでいたのだろう。そんなとき、ワシの息子と遭遇したらしい。
4人組の中の1人に、大柄でチョイおデブちゃんなリーダー格らしい子供がおり、何が気に食わなかったのか、独りでいるワシの息子にカラんできたのだが、そこからの展開は以下の通りらしい……
相手「おい!お前どこの幼稚園から来たんだよ」
息子「◯◯保育園だよ」
相手「そんなとこ知らねえぞ」
息子「オレだけだよ」
相手「(周囲の仲間に)なあ、こいつぶっ飛ばしていいか?」
息子「ああ、やってみろよ」
ということで、戦闘開始!……息子の説明を聞くと……まず、そのおデブちゃんがかかってきたので、腰に組み付いて地面に倒して押さえつけてやると、もう1人やってきたので、同じように組み付いて倒したら、それを見ていた残りの2人は手を出してこなかったらしい。
それがきっかけで、息子は彼ら4人と仲良くなり、今でも良い友達だという。つまり、ワシの息子の小学校入学後初の友達は、出会い頭に喧嘩した相手ということになる。やはり最初が肝心だ。
そして、息子の喧嘩話をもうひとつ書いておく。
関連記事:【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】イジメに関してワシが息子に教えたこと
■喧嘩は子供にとって「考える機会」になる
息子が小学校3年生の夏休みのことだ。地域の小学3年生~中学生までの希望者によるサマーキャンプがあり、息子もそれに参加した。そして、息子がキャンプから帰ってくる日、ワシら夫婦は解散場所まで息子を迎えにいった。
子供たちをおおぜい乗せた何台かのバスが到着し、中の1台から降りてくる息子の姿が見えた。キャンプがよほど楽しかったのか、息子は満面の笑顔ではしゃぎながらバスから降りてきたのだが……なぜか息子の顔のオデコから鼻までがカサブタだらけではないか!……聞くと、やはり大喧嘩したらしい。
キャンプ地で、大人数の鬼ごっこをしていたとき、年上の小学校4年生の男子2人が(息子が言うには)ズルをしたらしく、息子が2人に対してハッキリ言ったら、喧嘩に発展してしまったそうだ。そのとき4年生男子のひとりが、息子が3年のくせに生意気だということで、息子をヘッドロック状態(腕で首を巻き付ける形)にして投げてきた。息子は、相手の腰にしがみつき耐えようとしたが、さすがに向こうの方が力が強くバランスを崩し、2人して地面に倒れたそうだ。そのとき、息子は相手にしがみついたままだったので、顔面から砂利の地面に転び、顔をしこたま擦りむいたらしい。
息子曰く「すげー痛かったけど、くやしかったから相手の体を放さなかったんだ」
2人して倒れた後、息子はすぐに相手の体の上によじ登り、マウントポジション状態(仰向けに倒れている相手の胴体の上に馬乗り状態になること)になったというので、当時息子もたまに道場で練習していた柔術の技を使ったのかと思い……
ワシ「おお!じゃあ、そこからアームバー極めたか!?」
息子「違うよ。相手の顔面に何発も頭突きしてやった」
ワシ「おおお!!!」
息子「10発くらいやったら、相手の顔が泣きそうになったんだよ。もう少しで4年に勝てる!って思ったから泣くまでやってやろうって頭突きしまくったんだ」
ワシ「相手は泣いたのか?!」
息子「もう1人の4年がさ、友達が負けそうになったから、オレに手だしてきたんだよ。ヤバいって思ったら、先生が止めに入ってきたんだ。惜しかったよ」
ワシ「がんばったな!」
もちろん、その後、学校でもワシの息子と相手の子供達の間には、なにも争いごとはない。問題が起きた時点で、息子が我慢せずにぶつかったことによって、相手に「あ、こいつ年下だけど簡単じゃない」という認識をさせたと同時に、相手にとっても「弱い者イジメをしようとした自分に関して考える機会を得た」ということでプラスになる可能性はあるとワシは思っている。
キャンプの解散場所で、この喧嘩を止めに入った先生は「息子さん強かったですよ」と伝えてくれた。どうやら先生は、息子と4年生たちの喧嘩をあえてすぐに止めずに、遠くから注意深く見ながら、やるとこまでやらして、2対1になった時点でレフェリーストップを入れたようだ。この先生の対処の仕方には、いまだに感謝している。
なぜなら、喧嘩の最初の時点で無理矢理にでも止めに入っていた場合、息子には相手に対しての恨みが残って、くすぶってしまっていただろうし、やがては相手との間でもっと大きな喧嘩や諍いに発展する可能性もでてきたかもしれない。
そして、相手にとっては「年下の子供に自分から手を出す」ということに関して考える機会を失わせていたかもしれず、弱い者イジメを助長する可能性もあるからだ。この先生は、問題が起きた最初の時点で、ある程度までは経験させたほうがお互いにとってプラスになると判断してくださったのだろう。賢明な判断だとワシは思っている。
皆さんの参考になるようなことだったかどうかはわからんが……やはり、子供同士の喧嘩やイジメを仕掛けられた場合は、「最初が肝心」である。何事にも言えるかもしれんが、問題ある関係性が構築されてからでは、なかなか解決が難しくなるのではないだろうか。
なので、親は子供の友達関係は遠くから見ておくことも必要かもしれん。
今回は以上。
(文/溜池ゴロー)