【ネット発の言葉を調査】「壁ドン」はそもそも騒音対策?「リア充」は恋愛と無関係?
知らず知らずのうちに使っている「リア充」「壁ドン」。これらは、いわゆる「インターネットスラング」の一種です。
つまり、そもそもは一部のユーザーにしか理解できない内輪ネタであり、ネットの外では通じないはずの言葉。
しかし、「リア充」や「壁ドン」という言葉を耳にしたことがある人は、多いはず。それはこれらの言葉が、そもそもの内輪でしか通じない意味ではなく、一般に受けるような意味に変化しているから。
じつは、「リア充」「壁ドン」が誕生したとき、ネット上では違う意味で使われていたということなのです。
■「リア充」「壁ドン」ネットスラングの元々の意味は?
①「リア充」
もともと、ネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」の大学生活版において使われていた「リアルが充実している」が略された形、という説が有力です。
現在、この「リア充」な状態は「彼女・彼氏持ちで幸せであること」とイコールになっていますが、当初大学生活版においては、単に現実の生活が充実している状態のことを指していました。
極端に言えば、彼氏や彼女もなく友達が1人だったとしても、自分が満足していれば「リア充」。
しかしネットの外では、現実の生活が充実している状態=彼氏・彼女持ちであるという認識が一般的だったようで、現在の意味に至りました。
②「壁ドン」
当初の「壁ドン」は、アパートやマンションなどで隣の部屋から騒音が聞こえたときに、隣の部屋とつながっている壁を叩き、暗に「うるさいぞ」と抗議することでした。
また、「イライラ発散としての壁ドン」という用法もあり、「壁殴り代行始めました」というAA(アスキアート)がつくられています。
画像はスクリーンショットです
現在一般的に使われている「壁ドン」は、女性が男性にされてドキドキするシチュエーションのこと。
「男性が女性を壁際まで追い詰め、壁を背にした女性の脇に手をつき『ドン』と音を発生させ、腕で覆われるように顔が接近する」ことを意味しています。
当初の意味とは全く関係ない意味ですが、それもそのはず。というのも前者のネットスラング「壁ドン」がネットの外で使われて変化したのではなく、後者はネットの外で別に発生した言葉だから。
偶然にも「壁ドン」という言葉が被り、ネットスラングとしての「壁ドン」よりも恋愛の「壁ドン」の方が有名になったことで、一部のネットユーザーが困惑することとなったのです。
ネット上には多くのネットスラングが存在していますが、それらが日常会話に出てくることは稀。
「壁ドン」は特殊な例ですが、「リア充」のように、もともとの意味を拡大解釈しやすいものがネットを超えて日常生活に現れ、使いやすい意味に定着していくのかもしれません。
(文/しらべぇ編集部・おがたなま)