「名言」と「名場面」と「名台詞」の違いとは？【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
2015/03/12 20:00
離婚直後に「辛すぎて今なら妖刀打てそう」という言葉を流行らせ、流行語大賞を狙おうとしたが、あっけなく散った黒田勇樹です。こんにちは。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います。
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■漫画『ワンピース』には名言がない！？
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先日、筆者の愛読書である、少年ジャンプで連載中の大人気漫画『ワンピース』には、名言がない、という意見を耳にしました。
確かに、ワンピースの名言としてまず挙げられるのが、主人公ルフィの「当たり前だ！」ですが、これ単体で「いいセリフ」といえるかというと、状況がわかならければ全く心に響きません。
ヒロインであるナミの「助けて」の後に言うから名台詞なのであって、「残業しなきゃ、ダメですか？」の後に言ってしまったら、パワハラでしかありません。
こういった台詞は、あくまでも「名場面」で言われるからこそ「名台詞」となり得るワケで、「名言」とは違うのかもしれません。
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■では、名言とはなんなのか？
筆者は、「誰が言っても、いつ聞いても意味が変わらない」、つまり「その言葉だけで完結して、初めて名言たる」のではないのかと考えます。
「飛べない豚はただの豚だ」
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ジブリ映画「紅の豚」の名台詞ですが、これも単体では名言には届きません。跳び箱の前で泣いている肥満児に向かって言ったら、完全にいじめか体罰です。
では、どんな場面でも名言たりうる言葉とは、どういったものなのでしょうか？
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■これぞ名言：「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
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スラムダンクの安西先生の言葉です。
ただただ、その意味を間に受けると、諦めたところで試合は終了時間まで続きますし、諦めなかったところで時間が来れば試合は終わるので「安西先生はバスケのルールをしらないのか？ バカなのか？」ともとれる発言。
でも、「試合」という言葉を、「自分が今、戦っている何か」という意味に置き換えれば、あらゆる場面で名言たりうるのではないでしょうか？
これが「諦めたらそこで終了ですよ」では「試合中」という場面で聞かないと、物足りません。「試合」という言葉を入れたからこそ、どんな場面でも心を打つ、普遍的な名言となったワケです。
あ、でもブラック外食チェーンの社長とかに言われたら、ものっそ怖いか…
名言と名台詞、名場面の使い分けについての考察でした。
（文／ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹）
