【名場面だけど】実は相当罪が重い「花嫁を結婚式当日に連れ去る」行為
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披露宴に乱入し、さっそうと花嫁を連れ去る……。
スクリーンを通してならば感動的な場面かもしれませんが、実際に起こったら、新郎からしたらたまったものではありません。訴えたくなる人すらいるかもしれないこの行動。その罪について、今回は弁護士である寺林智栄先生に聞いてみました!
■結婚式場から新婦を連れ去る行為はどんな罪?
『略取、誘拐の罪』及び、逮捕監禁罪に問われる可能性があります。
新婦を連れ去る行為ですが、この場合には、『夫となろうとする人から自分が奪い取って、結婚したい』と考えているか、あるいは、振られた腹いせから恥辱を与える目的で、花嫁を連れ去り危害を加えると考えていることがほとんどと思われます。
なるほど。動機はどうあれ、犯罪ですよね?
前者の場合、新婦の方もその気になって同意してしまうこともあり得ます。その場合には、犯罪は成立しません。
有罪になった場合はどうでしょう?
これらの犯罪は、すべて同一の条文で定められており(刑法225条)、奪い取った男性は、1年以上10年以下の懲役に付される可能性があります。
■奪い取る男性が背負う、実際のリスクとは?
新郎の気持ちを考えると、男性を許すことはなさそうですが…。
(誘拐に)新婦の同意があった場合には、新郎は、新婦と男性の双方に対して慰謝料を請求することができます。
新婦としては、正式に婚約をした後であれば、新郎を捨てて男性に走った行為は『婚姻の予約を不当に破棄した』ことになりますので、それにより新郎が被った精神的苦痛に対しては責任を負うべきこととなるのです。
もっともなお話です……。
ただ、このようなケースでは、そのような事情よりも「招待客らが大勢いるところで花嫁を略奪されるという辱めを受ける」という事情が、精神的苦痛の程度を図るうえで重要ではないかと思われます。
映画では感動的なシーンでも、当事者だけでなく、参加者も傷つけてしまう行為です。男女間の決着は、婚約前につけておくのが正しい大人の恋! …なのかもしれませんね。