武者小路実篤『友情』の萌えポイントとは?【芥川奈於の「いまさら文学」】

2015/03/14 11:00


しらべぇ0316文学

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■あらすじ

脚本家の野島と新鋭小説家の大宮は深い友情で結ばれていた。そこに野島の友人・仲田の妹である杉子が現れる。

野島は清く美しい杉子に恋をし、大宮に相談をしたり自分の将来を妄想したりする日々を送り、ついに結婚を申し込むと決意するが、同時に大宮は西洋に留学をしてしまう。

杉子の答え、そして大宮の胸の内に秘めた思いとは…。


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■ウジウジ乙女とハツラツ青年

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主人公の野島は、いわゆる「草食系男子」。杉子を好きになったら新聞や小説の中に出てくる「杉」の字を見る度に二人の将来を夢見たり、挫けたときは、しくしくと泣きながら砂浜に「杉」の字を書いたりする。

それに比べて大宮は、キリリとした男前といったイメージ。常に野島の味方をし、他人の作品にこっそりと嫉妬をする野島とは違い、自分の世界をペンで走らせることに夢中なタイプ。

そんな二人が杉子と仲田を交えて卓球をするシーンがある。杉子は卓球が強く、野島は圧倒的に下手くそなのである。

そこで大宮が「野島の代わりに僕が相手をしましょう」と、杉子を打ち負かすシーンがある。そして野島は大宮を少しだけリスペクトするのである。


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■ここ、萌えポイント!

ちょっと待ってちょっと待って、女子の皆さん!

常に杉子との恋を応援している大宮が、仲田や野島と足並みを揃えず杉子を(野島のために)打ち負かすって、どういうこと? 杉子を庇わず大宮を見ている野島って?

そこには熱い「愛…」いえ、「友情」があるからではないか? などと、この二人には個人的にハラハラさせられるシーンが満載である。

そんな筆者は野島以上に妄想家なのかもしれないが。


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■自分の「友情」を振り返ってみよう

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先に書いた卓球のシーンのような萌え事件は誰にでも一度位はあるはずだ。

今でこそ「友チョコ」などが当たり前になっている時代だが、筆者が女子校生の頃にはその様な習慣はなかった。

しかしそこは女子校、やはり人気の先輩の下駄箱は蓋を開ければチョコレートが溢れだすし、卒業式は制服のボタンや棒タイの取り合いが起こる。

いつの時代も「憧れ=淡い愛情」と「友情」の境目は危ういものなのかもしれない。


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■そんな『友情』を読みたくなったら

皆さんも是非、登場人物を自分の友達恋人に置き換えて味わってみてはいかがだろうか。この小説は、題名通りの「友情」を解かりやすく、また現代に於いても色褪せずに描かれた秀作である。

だからそのような読み方をするのも容易であると思う。これを機に、いまさら文学に挑戦してみてはどうだろうか。

(文/芥川 奈於

友情小説文学
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