特撮ヒーローの元祖は約1400年前の○○にあり!?【出口博之のロック特撮】
こんにちは、白ポロ+眼鏡でおなじみのMONOBRIGHT、ベースの出口です。
読者諸兄姉の皆様は、2月から放映が始まった「手裏剣戦隊ニンニンジャー」は、ご視聴されていますか? スーパー戦隊生誕40周年作品であり、13年ぶり3度目となる忍者モチーフのヒーローです。
今回は特撮界における忍者ヒーローの系譜を見ながら、特撮と忍者のニンニンな関係をひもといていきましょう。
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■特撮忍者ヒーロー作品の系譜
まずは過去の忍者をモチーフとした作品を見てみましょう。
スーパー戦隊ではニンニンジャーを含め3作品。メタルヒーローシリーズでは「世界忍者戦ジライヤ」のみ。テレビシリーズではありませんが「仮面ライダーZX(ゼクロス)」も忍者という設定です。
他にも様々な忍者ヒーローが登場しています。数としては少ないですが、世代毎に1つは忍者ヒーローがいるのです。
そもそも忍者とは、諜報活動、戦闘活動を行う存在を秘匿した特殊部隊です。しかし、ヒーローのモチーフになる場合は、忍者の成り立ちよりも、忍術を始めとした忍者の特殊技能にスポットが当たるケースが多い。
確かに、闇に紛れて目標人物を後ろからブスッと暗殺するヒーローは、視聴層が子供の番組では出せませんね。
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■実は扱うのが難しかった忍者モチーフ
Photo by Nathaniel Rosa
モチーフとしては取り上げられることが少ないにも関わらず、あるタイミングでは必ず取り上げられる忍者。格好良さは折り紙つきのモチーフなのに、なぜあまり取り上げられないのか。
その理由は、忍者が特撮よりも特撮色が強すぎるという点にあると思います。
影の存在である忍者については歴史上存在していたことは確実ですが、その実態は言い伝えによる部分と、古くからの創作物(歌舞伎や時代劇など)によるイメージが混ざり、事実と虚構が入り交じっています。
歌舞伎でいえば石川五右衛門、時代小説だと司馬遼太郎先生を始めとした時代小説家先生たちの作品群などで描写された、言い伝えでは語られることが少ない忍者の内面と、人知を超えた忍者の能力の組み合わせは、特撮番組の基本構造と重なります。
この事から、新しい作品(作風)を作る事がテーマの1つである特撮番組において、ある意味で完成された忍者モチーフは乱発できない、と言えるかも知れません。
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■忍者特撮ヒーローのネーミングについて
特撮番組に限らず、物語の基本中の基本になるのは登場人物の関係性です。こと特撮番組においては、登場人物には明確に個性を持たせなければなりません。
忍者モチーフのスーパー戦隊で見受けられる個性として、史実に存在する忍者の名前を受け継いでいる場合があります。
「忍者戦隊カクレンジャー」では忍者の末裔という設定を持たせ、名前そのままを受け継いでいます。「手裏剣戦隊ニンニンジャー」ではアレンジが加えられていますが、明らかにもじっています。
元ネタになった忍者については、あくまで名前のみの引用なので、「伊賀忍者」と「甲賀忍者」の確執や、真田幸村に仕える真田十勇士の活躍など劇中にあまり反映されていません。
しかし、今後それらの要素が取り上げられる可能性は0ではありません。伊賀忍者、甲賀忍者、真田十勇士などを調べておくと、独自に今後の展開を予想できるので、お時間ありましたらぜひ調べてみてください。
余談ですが、私が出演している特撮のトークイベントなどでは忍者の成り立ちから今後の展開を考察したりもしているので、独自調査が苦手な方はお立ち寄り頂ければ幸いです。
忍者の本分は闇に紛れ人知れず任務を遂行することにありますが、現在放映中の手裏剣戦隊ニンニンジャーや、アメリカ発の亀の忍者「ミュータント・タートルズ」は、忍ぶどころかド派手なアクションを展開しています。
時代に合わせ新しい要素を取り入れる様は、忍者だけに「忍風!シノビチェンジ!(忍風戦隊ハリケンジャーの変身)」と言っても良いのではないでしょうか。
今回はこれまで。ドロンします。
(文/しらべぇ編集部・出口博之)