「義足を着こなす」アーティスト“ヴィクトリア・モデスタ”がただ素直に美しい
イギリスにヴィクトリア・モデスタ(Viktoria Modesta)というシンガーソングライターがいる。モデルとしても活躍する彼女の足は、とても美しい。
※画像はスクリーンショットです。
スタイリストという仕事のせいもあるだろうが、私は美しい人間が好きだ。
なにも他人と美醜を争うという行為を礼賛しているわけではない。ただ日々、自分自身を見つめることから逃げず、なりたい自分になることを諦めず、そのための努力を怠らない。言葉にするのは簡単だが、実践するには揺るぎない意志の強さが必要なこの3つのNeverを、ストイックなまでに続けている人間は本当に美しい。
ファッションモデル、芸術家、アスリート。技を究めようと修練を積む職人。誰かのために美しくなろうと努力する女性。他人と比べて自分を嘆くのではなく、そのままの自分を磨き続け、やがて光を放つ人間――。
彼らが放つ光はとても力強く、表面だけを着飾ったイミテーションの美しさとは比べ物にならないほど美しい。そういう美しい人間が、私は好きなのだ。
※画像はスクリーンショットです。
■ファッション・スタイリングとは、「服」と「人」の組み合わせ
よく誤解されるのだが、ファッションスタイリングとは「服」を組み合わせることではない。「服」と「人」を組み合わせるのだ。
手足の長い人もいれば、頭の大きい人もいる。派手な顔立ちの人もいれば、肩幅が広い人もいれば、お腹が出てる人もいれば、義足の人もいれば、肌が色白の人もいる。中には特定の部位を隠すことで自信が持てる人もいるし、逆に自信のあるパーツを強調することでさらに美しく見える人もいる。
いずれにせよ、ただ「服の組合せ」だけを考えたのではスタイリングとはいえず、着る人自身をよくよく観察、理解した上でコーディネートするという、ある種愛情にも似た熱意がなければ本当のファッションスタイリングはできない。
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■ヴィクトリア・モデスタの美しさ
ヴィクトリア・モデスタは、本当に美しい。
彼女の表情やたたずまい、ファッションセンスや音楽を含めた自己表現には、積み重ねて来たであろう彼女の全ての美しさ――逃げず、あきらめず、怠らず、自分を理解しようと努め、命がけの自己愛によって表現してきた自分自身――が眩しいほどに表れているからだ。
誰でも目をそらさずに自分自身を見つめ、ふて腐れずに磨き上げ、愛情を持って堂々と表現することができれば、それこそが個性となって光り輝く。遠い海の向こうから届いたヴィクトリア・モデスタという光が、それを教えてくれた気がした。
(文/久保田フランソワ)