「示談」と「和解」は別物!その重大な違いって?【伊武センセの法律相談室】

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■相談

小さな交通事故に巻き込まれました。目立ったケガもなかったので、加害者とも話し合い、後遺症の心配もないし、加害者が私に5万円を払うことで話がまとまりました。このとき、加害者から話がまとまってお金を払うのだから、念のために示談書にサインをして欲しいといわれたので、サインをすることにしました。

しかし、加害者が用意した書面には和解契約書とかかれていて、示談書となっていませんでした。一抹の不安があったのですが、5万円はきちんと払ってくれましたし、一応サインはしたのですが・・・。いまさらですが、ちょっと不安なです。


 

■司法書士・伊武センセの解説

交通事故に巻き込まれながらも、大きなケガもなく何よりです。加害者もそれなりに誠意をみせてくれているようですし、まさに不幸中の幸いでしょう。

さて、相談者様は示談をするつもりが成り行きで和解契約をしてしまったため、不安だということですよね。

ではでは、さっそくご質問にお答えしたいと思います。実は、相談者様が心配されてますように、示談と和解とは似て異なるものなんです。

「やっぱりやられたかぁ!」と思った相談者様。落胆するのはまだはようございますですよ。結論に入る前に、まずは恒例のカバチをひと捻り。


●示談と和解の違いって?

そもそも示談と和解、どういうものかというと、示談は、

「争いを話し合いで解決し、争いがなくなった状態になったことを、当事者が確認すること」

をいうのに対して和解は、

「争いのある当事者が、互いに譲歩して争いをやめる契約」

をいいます。よく似てますよね。まぎらわしい・・・。でもね、よくよく見ると違う部分がわかるはず。

そう、和解では「当事者が互いに譲歩する」ことが必須になっていて、示談は必ずしもそうじゃないんですね。つまり、示談は、当事者の一方が相手の条件を全面的に承諾しても成立しちゃうんです。一方、和解だと双方が譲る必要がある。


●示談と和解の違いにどんな意味があるの?

「なるほど、違いはわかった。で、それになんの意味があるわけ?」そんなお声も聞こえてきそうですが・・・、はいはい、すぐにご説明申し上げましょう。

和解には、「確定効」といって、和解が成立した以上は、和解の対象になった争い事を今後蒸し返すことは許されない、という効力があります。仮に事実関係に間違いがあっても和解が成立すれば、原則として2度と争うことは許されません。

例えば、10万円を貸した、いや借りてないという争いで5万円の和解金を払って和解した場合に、後になってやっぱり10万円を借りてなかったという事実が判明しても、和解金の5万円を返せとはいないのです。

しかし、示談の場合はちょっと違ってきます。上でも話したように、示談は、争いの一方が相手方の主張を全面的に承諾することでも成立します。10万円の争いで、相手方の言い分どおりに10万円を払って示談する場合などですね。

この場合、和解のような確定効は生じません。だから、後から10万円を借りてなかった事実が判明すれば、示談金の10万円を返せと再び争ってもいいのです。

なぜかというと、和解では双方が互いの主張を少しずつ譲って争いをやめようとしたのだから、争いを蒸し返えすなといっても公平でしょう。しかし、この場合の示談は、一方が他方に全面的に主張を譲っているわけですから、これを蒸し返させても不公平にはならないからです。

       とまぁ、難しい理屈はおいといて。

とりあえず、和解は争いを蒸し返すことはできない、示談は争いが蒸し返えされることもある、と覚えておいてくださいね。

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●つまり今回の交通事故の「和解」はこういう意味になる!

そこで、相談者様のご心配にお答えすると、相談者様は和解をしたわけですから、今後は交通事故での賠償という争いを蒸し返すことができなくなったわけです。

でも、相談者様は被害者で後遺症の心配もないとのことですから、争いを蒸し返す必要はないでしょう。となると、結局のところは、示談でも和解でも問題はなかったということに落ち着くわけですね。


■杉山さんのド突っ込み

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示談には、いろんなパターンがありますから注意して下さいね。争いの双方が互いに主張を譲って争いをやめようというパターンでも、示談と呼ぶこともあります。でも、これは伊武センセも言ってるように実質的には和解です。

実質的な示談は、争いの一方当事者の主張を相手方が全面的に承諾するパターンのみ。要注意ですからね~!

(文・漫画/田島 隆・高橋昌大 『びったれ!!!』しらべぇ出張版・スーパー司法書士・伊武センセのスペシャル講義

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