【蔵元コラム】春を迎え続々と酒造りを終える酒蔵 日本酒造りの流れとは?
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みなさん、こんにちは。萩野酒造八代目蔵元の佐藤曜平です。いよいよ春がやってきましたね。
日本酒は暑い時期には造れないので、基本的に涼しい秋から春にかけて造られます。一部の冷蔵設備が整った酒蔵さんでは一年中造ったりもしていますけどね。
さて、先日3月30日に、うちの蔵では無事に今期のお米を蒸す作業を終え、「甑倒し(こしきだおし)」を迎えました。
日本酒に使うお米はご飯のように「炊く」のではなく「蒸す」ので大きな甑を使ってお米を蒸します。中華街の肉まんを蒸しているセイロがでっかくなったような物と考えてください。
ちなみに弊社の甑では一度に800kgのお米を蒸すことができます。
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【酒造りで使用する甑】
秋の酒造シーズンに入って初めてお米を蒸すことを「甑起こし(こしきおこし)」と呼び、弊社では今期は10月半ばに「甑起こし」を迎え、3月30日に「甑倒し」となりました。
でも、日本酒造りの全体的な流れってイマイチ分かりにくいですよね?
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■意外と勘違いされているかも…「日本酒の作り方」
秋に米を樽(実際にはタンク)に入れて冬の間ずーっと発酵を続け、春先にめでたく新酒が完成…というのは大きな間違いです。
実際はこのような感じに。ここでは仕込んでから、約45日前後でお酒になる標準的なもろみをモデルにしています。
※ 日本酒の造り方は非常に複雑ですので、かなり大まかに描きました。詳しくはGoogle先生に聞いてください。
そして「甑起こし」から「甑倒し」まで、下図のように仕込みと搾りを繰り返して、何十本~何百本ともろみを仕込みます。
約45日で新酒は出来上がりますが、様々な工程を経て出荷されるまでにはまだまだ時間がかかります。
イラストの例だと途中に年末年始や休みを設けての30本仕込み。1仕込みあたり一升瓶で1,000本。約300石(こく)一升瓶換算で3万本の小規模な酒蔵がモデルです。
※ 1石(こく)=一升瓶(1800ml)換算で100本。300石は3万本。TVCMでよく見る大手酒蔵になると、30万石(3,000万本)というような数量になります。
以上がお米からお酒になるまでのものすごくざっくりした流れです。僕の拙い文章やイラストで分かっていただけたかかなり不安ですが…(笑)。
長い長い冬籠りのような酒造りを終えた酒蔵関係者は、「やっとシャバの空気が吸える!!」とテンションアゲアゲで夜の街に繰り出すのです(笑)
(文/萩野酒造・佐藤曜平)