【保有率3%】新興国に見る「電子レンジのない暮らし」の豊かさとは?
■世界で見ると「電子レンジ」の普及率は高くない
暮らしの中で、もはや当たり前の存在になっている電子レンジ。日本で1961年に業務用が、そして1962年に家庭用の電子レンジが発売されると、急速に一般家庭に広がりました。
今ではほとんどの家庭に電子レンジがあると言っても過言ではありません。
しかし、世界を見渡すと電子レンジの普及していない国が多くあります。冷蔵庫、洗濯機、炊飯器など多くの「家電」が新興国の暮らしになじみつつある昨今であっても、電子レンジの普及率は決して高くはないのです。
経済産業省によると、その普及率は、発展著しい中国やインドであっても、それぞれ33.7%、8.4%となっています(2013年)。
なぜ、電子レンジは多くの新興国諸国に広まらなかったのでしょうか。人々は電子レンジなしでどのような暮らしを送っているのか。
電子レンジの普及率がわずか3.0%というインドネシアで、電子レンジのない暮らしをのぞいてみました。
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■インドネシアの文化に「冷凍食品」は必要ない?
インドネシアの食生活を支えるのは、路上で展開される屋台です。ジュースに、スープ、揚げ物と様々な料理の屋台が取り揃えられており、物価が安いため手軽な値段で食べることができます。
小腹が空けばぶらっと近所の屋台に出かけ、なじみの店主に声をかけ空腹を満たす。その反面、インドネシアの食卓でほとんど見ることができないのが、冷凍食品。
三井物産戦略研究所によると新興国の冷凍食品の消費額は、先進国の10分の1と言われています。実際インドネシアの1人当たりの年間消費額もわずか3.2ドル(日本円で約400円)。
近所の屋台に行けばリーズナブルな値段ですぐに飲み食いができる新興国の人々にとって、先進諸国と価格の変わらない冷凍食品は割高な食品なのです。
そして、冷凍食品と切り離すことができない電子レンジは、おのずと必要とされなくなっているようです。
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■家族で食事をするのが常識?
電子レンジの出番は、冷凍食品の調理だけでなく、冷え切った料理を温め直すとき。しかし、インドネシアでは、料理を温め直すという考え方自体が一般的ではありません。
というのも、家族で揃って夕食を食べるというのが常識になっているから。そうすることで、毎晩出来立ての料理を楽しむこのです。
残業もなく19時には家に帰り、夜には街も寝静まるからこそ、多くの人々が家に戻り家族の時間が生まれやすいのでしょう。
インドネシア人に取材したところ、「家族の寝静まった頃に家に帰り、冷え切った夕飯をレンジでチンする」といった生活は考えられないとのこと。
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一方で新興国では、電子レンジが普及していないことで、家事の負担が多く、働く女性が少ないといった問題も指摘されています。
日本では様々な家電の登場を通して暮らしが豊かになったことで、家族をはじめ人と人のつながりが希薄したと危惧する声もも。
新興国の暮らしを見つめることは、私たちが失ったものを気づかせてくれるチャンスかもしれません。
(文/しらべぇ編集部・じゅんぺい)