【蔵元コラム】特別な資格は必要なし!伝統の「日本酒」造りに携わる方法とは?

コラム

2015/05/04 12:00

しらべぇ0503とうじ1-1©iStock.com/botamochi

みなさん、こんにちは。萩野酒造八代目蔵元の佐藤曜平です。

杜氏(とうじ)と呼ばれる人が日本酒を造っているということ、聞いたことはありませんか? 実は、勘違いされてる方が多いのですが、日本酒造りに携わる人「全員が杜氏」ではありません。

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酒蔵で働く人たちにも様々な役割があり、おおざっぱですが会社組織に例えることができます。

社長=蔵元:経営者
工場長=杜氏:酒蔵の最高製造責任者。大工さんで言えば棟梁
・製造部長=頭:杜氏の補佐役。副杜氏とも呼ばれる
・営業部長=麹屋:部下の蔵人を指揮して麹造りを担当する
・経理部長=酛屋:部下の蔵人を指揮して酒母造りを担当する
・社員=蔵人:杜氏の下で働く人たち全般

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蔵元が杜氏を兼任する小規模酒蔵も、増えてきています。

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という訳で、杜氏はその蔵に原則として一人しかいません。(複数の製造場を所有している蔵は除く)。


 

■杜氏には何が求められるのか

①蔵人同士の輪を作ること

蔵では多くの人が働いていますので、その蔵人たちを束ねて円滑に酒造りを進めることが求められます。

以前弊社で働いてくれたその道50年以上のベテラン杜氏は、蔵人の趣味や話題に合わせてニュースを見たり雑誌や競馬新聞にも目を通していました。もちろんそんなことはしないタイプの杜氏さんもいますけどね。

② 様々なトラブルに対処できること

蔵内では多くのトラブルが発生します。それはお酒の発酵や出来に関わることだけではなく、醸造機械の故障や人間関係のトラブルまで幅広く、それらに冷静かつ適切に対処できることが求められます。

③常に勉強し、技術研鑽を怠らないこと

現代の日本酒造りでは、新しいお米や酵母、醸造機械が開発されたりと日々進化しています。そういった時代の流れにも柔軟に対応できるよう、常に勉強を怠らない姿勢が大切です。

「日本酒を造れること」なんてのは、当たり前すぎて言うまでもなく、現場や人生の経験が豊富なことこそ、とても大事なんです。


 

■杜氏じゃないと酒が造れないわけではない!

酒造りに携わる人に必要な資格は特にありません

・日本酒を造るには日本酒の製造免許が必要
・製造免許は製造場(酒蔵)が受けるもの
・ 酒造りに携わる人に与えられるものではない
・製造免許を有している製造場であれば、そこで誰でも酒造りができる
・だから、自称で杜氏を名乗っても罰せられない(酒造技能士という国家資格もありますが、これも必須ではない)

20代の頃「若いのに杜氏さんなんてスゴイですね~」 なんてチヤホヤされていい気になってた時が僕にもありました。経験を積めば積むほどベテラン杜氏さんの凄さが分かります。

あの頃の何も分かってないペーペーの若造が杜氏を名乗るなんておこがましいったらありゃしない(反省中)。


■どうやったら杜氏になれるの?

社会的な裏付けのある杜氏となるためには、杜氏集団に属して酒造りの腕を磨きあげていく必要があります。

宮城県の酒造従事者の多くは「一般社団法人南部杜氏協会」に所属しています。会員となって実務経験を積み、定期的に講習を受けるなど研鑽を重ねていると、やがて「南部杜氏」資格試験を受けられるようになります。

試験においては、酒造りに係る技術、技能、知識、実務経験等が多面的且つ総合的に厳しく判定され、これに合格して初めて「南部杜氏」として酒造りをすることが認められます。南部杜氏以外にも各杜氏集団独自の資格試験が実施されています。

杜氏集団の資格が無くとも、自身が働く酒蔵の経営者や師匠である杜氏に認められたり、蔵元杜氏の場合は実績や経験、能力を周囲が認めれば立派に「杜氏」と名乗ることができるんです。

しかし、そうではないナンチャッテ自称杜氏も少なからず存在します。

平成25酒造年度において日本酒を製造した酒蔵は1,236場。つまり杜氏も同数程度しかいないことになります。そう簡単になれるものではありませんが、誰にでも杜氏になるチャンスはあるとも言えます。

日本酒造りは決して楽な仕事ではありませんが、日本の伝統的なモノ造りとしてのやりがいはとても大きいと思います。どうです? チャレンジしてみませんか??

(文/萩野酒造・佐藤曜平

参考:2014年12月24日 宮城の酒Facebookページより一部引用

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