【和食の要】醤油の原料は大豆だけじゃない!意外と知られていないその製法とは?
日本料理には欠かせない調味料である醤油。日本の醤油は世界中に輸出されており、今やワールドワイドな「日本の味」だ。
この醤油の独特な香りや味は、どのように作り出されるのだろうか。
「うすくち」や「こいくち」などいくつかの種類が存在しているが、今回は北海道でポピュラーな「日高昆布しょうゆ」を製造している福山醸造株式会社(トモエ)の工場で、知っているようで実は知らないその製法について調査してきた。
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■醤油の原料は!?
醤油の原料といえば大豆!と思われた方も多いだろう。もちろん大豆も使われているが、実はそれだけではない。醤油の主な原料は大豆(脱脂加工大豆)と小麦なのだ。
▲醤油の原料。左から丸大豆(脱脂加工前)、脱脂加工大豆、小麦、塩。
脱脂加工大豆とは大豆から油分を抜いたものであるが、この脱脂加工を行わずに大豆をそのまま使用すると、出来上がった醤油には油が浮いてきてしまう。これは、大豆には油分が多く含まれているため(実は世界的に見ると、大豆の消費量の8割以上が「油」として使われている)。
また、小麦は、数ある種類の中でも特に「強力粉」として用いられるような、高タンパクな品種が原料として用いられる。これは、タンパク質に含まれるグルテンが醤油の「うまみ」となるため、高たんぱくな品種の小麦のほうがその「うまみ」がでやすいから。
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■原料から醤油ができるまで
水を加えて蒸した脱脂加工大豆と炒った小麦、そして種こうじを混ぜ合わせ、数日置くと醤油の「こうじ」になる。
そしてそのこうじに、食塩水を加えて仕込み、半年以上発酵・熟成を行うと「もろみ」が出来上がる。
工場では実際に、もろみの味見をしてみると、見た目は濃い醤油のようだが、醤油には無いようなフルーティーな香りがして、不思議な味わい。
熟成されたもろみは、圧搾機で絞られていく。ガラス越しなので少し見にくいが、下からどんどん醤油が搾り出される。
ちなみに醤油を絞った後の搾り粕は、こんな感じ。この搾りかすは、家畜の餌として無駄なく使用されているという。
次に、搾り出された醤油に、加熱殺菌を行う。実は、醤油の独特の香ばしい香りは、この殺菌の行程で過熱されることによって生まれるそうだ。実際に、加熱殺菌前と後では、工場内に漂う香りも変化する。
最後に、濁りを取り除くためのろ過や、品質検査などが行われ、ペットボトルなどに詰めて完成。写真は主に業務用として出荷される一斗缶。
醤油はこのように、複雑で手間のかかる行程を経て、作り上げられている。日々使う調味料だからこそ、醤油にこだわってみたい、という方は是非一度工場に足を運んでみよう。
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■醤油アイスクリームも食べられる!?
工場横の直売所では「醤油ソフトクリーム」なるものも。みたらし風味の醤油ソースが意外とミルクと合ってビックリ。
(文・写真/しらべぇ編集部・なかしまそうた)