【今もあるある?】古典「沙石集」で読む700年前のお馬鹿エピソード3選
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古典の沙石集(しゃせきしゅう)は、1300年(鎌倉時代中期)頃に「無住(むじゅう)」というお坊さんによって書かれた仏教説話集。
耳なじみのない方もいるかもしれませんが、じつはこの本には今読んでも面白い「おバカな話」が載っているのです。
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①眠りすぎた結果、待ち受けていたのは…
まるで某名探偵マンガのに出てくる登場人物のような名前ですが、「眠りの正信房(しょうじんぼう)」はちょっとおバカなお坊さんでした。
いつもいつも眠っているため、「眠りの正信房」と呼ばれるようになった彼。どれくらい眠っているのかというと、仏教の儀式を行っているときでさえ眠りこんでしまうほど。
ある夜に、寝ずの番をしていたところうっかり眠りこけてしまい、鳥の鳴き声を聞いて、自分の名前を呼ばれたと思い慌てて返事をするというエピソードも。
結局このお坊さんは、あまりに眠りすぎて仏道を極めることができず、鳥に生まれ変わっても眠り続けているというオチで話が終わっています。
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②こんなお酒は…飲みたくない!
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智運房(ちうんぼう)は、正信房と並ぶほど有名人だったお坊さん。あまりに大騒ぎする人だったため「ひたさぎ(大騒ぎする慌て者)の智運房」と呼ばれていました。
とある酒宴の席で、智運房が追加のお酒を買ってきた時のこと。みんなでそれを飲もうと開けたところ、なんと瓶の中に水草が!
ほとんど酒の味もしないので、おかしいと思って尋ねたところ、「道が暗くてよく見えず、足を滑らせて池の中に瓶を落としてしまった。でも、すぐに池の酒をこぼしたあたりの水を汲みましたよ」と返答。
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③い、痛すぎる代償…
あるところに非常にケチな男がいました。虫歯を抜いてもらおうと虫歯抜きの人のところへ行ったところ、2文で1本歯を抜くと言われたので「1文で1本抜いてくだされ」とお願いをしたそう。
頼まれた虫歯抜きは、本当はタダでやってもいいかとも思っていたのですが、値切ろうとした態度が癪にさわり、頑なにマケようとしなかったのです。
そこで男はなんとかトクしようとして、「3文で2本歯を抜いてください」と言って、虫歯と一緒に健康な歯まで抜いてしまいました。
安いからと必要ないものまで買ってしまったり、買いすぎて余ってしまったり。得だと思ってしたはずなのに、想像と違う結果になることもありますよね。
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■沙石集におバカ話が書かれた理由
沙石集にこのようなおバカ話が書かれているのは、なぜなのでしょうか。
そこには、
愚かなことをすると、人々から馬鹿にされる→人はそれを避けようとして正しい行いをするようになる
つまり、読者がそのような人の振りを見て我が振りを直すようになる、という作者の考えが反映されているようです。700年前の先人たちの教えは、今にも通ずるものがありました。
(文/しらべぇ編集部・スギタユノ)