アニメ「血界戦線」から考える“興味と理解”【松澤千晶のアニメめくるめく世界】

コラム

2015/05/26 11:00

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※画像は「TVアニメ『血界戦線』公式サイト」のスクリーンショットです

こんにちは。フリーアナウンサーの松澤千晶です。

とは言ったものの、もはやアナウンサーと名乗るのも時に申し訳なくなるくらい、アナウンサーという肩書きが過多書きになりつつある今日この頃…。(過多書きに関しては『さよなら絶望先生』十八集の百七十四話をお読みいただけるとご理解いただけると思います)

しかし、このコラムをお読みの皆様は私のアナウンサー業にはそれほど興味をお持ちではないと思いますので早速、本題へ入りましょう。



 

■「最近何のアニメが面白いの?」とよく聞かれますが…

皆さんは、どういったときにアニメを面白いと感じますか? こればかりは人それぞれ好みによりますし、楽しめるポイントを見つけてしまえば何でも面白く感じてしまうので難しいお話です。

人の数ほど解釈があるが故に、テレビ番組では視聴率、アニメでは売り上げ等のわかりやすい数字で判断される世の中になったのだと思います。それも正しい考えで、世の中、数字を出せば勝ちです。商売としては利益こそ勝ちであり、価値のあるものです。しかしながら芸術的観点からは、必ずしも「勝ち=価値→面白さ」とは思えません。

それ以外の、数字や結果が出る前の、初期段階での面白さはどのようにして感じるのか…。ひとえに、何か「引っかかり」や「驚き」のようなものがあるのではないかと私は感じます。


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■第1話を見て感じること

現在放送中のアニメでは『血界戦線』がとても面白いと思います。しかし何気無く1話を見たときはお話がさっぱりわかりませんでした。全くわからない、けれど、気になってしまう…それはおそらく、奥底に何かを感じたからだと思います。

「わからない→興味がわかない→フェードアウト」という道筋もありますが、今回の場合は、「わからない→何かあるはずだけどまだ見えない→進んでみよう!」という感覚で、現実での出会いも似たようなものではないでしょうか。

もちろん、最初からこの人は素敵だなと惹かれてゆくパターンもありますが、わからないのに惹かれてしまうというのはますます気になる存在です。これは個人の好奇心の度合いにもよりますから、私は比較的、好奇心が強いのかもしれませんね。


■わからないので知りたくなって…

原作を読んでみたら、びっくりしました。物語の軸は変わらないのに、1ページ1コマ目から全く違う印象を受けましたから。

原作では「主人公がこの街に来たばかりだ」という冒頭のシーンが、アニメでは既にこれまでの過ぎ去った日々を振り返るような…しかし、これからその物語が始まるという、なんとも言えない叙情があるのです。

そのような演出面ばかりに気を取られてアニメではよくわからなかった部分が、原作の漫画を読むと実に面白い。興味と理解が繋がる瞬間はとても気持ちの良いものです。

もちろん、アニメも回を増すごとに面白くなってゆきますから、最初の2、3話は単純に慣れていなかったのかもしれません。


■わからない部分は原作で補完しないといけないの?

こういったものは原作の人気があればあるほど、映像化される際のオリジナル要素への不安が高まります。この作品に関わらずオリジナル要素については賛否両論だとは思いますが、仮にAがAでないならば、A’として考えれば良いのではないでしょうか。

もちろんAにこだわりがあればあるほど受け入れられない場合も多いのですが、上書き保存でなく新規保存として考えれば存分に楽しめると思います。

特にアニメ作品は1クールという限られた期間ですから、その上で楽しませてくれるための調味料(オリジナル要素)を私は非常に堪能しております。


■面白さを作る材料

この作品に関しては、内藤泰弘さんの原作の面白さに加え、監督が松本理恵さんという気鋭の存在であったり、他のアニメ作品でも大活躍をされているような豪華な声優陣であったり、時代を彩るテーマソングに溢れていたりと、興味の材料が多くあります。

しかし、それは材料に過ぎません。そういったものを調理されて目の前に出され、一口いただいたとき、またこの味を確かめたい…「次もまた見たい」。そのようなシンプルな思いが少しでも沸いたら、それが面白さの種なのかなと…興味と理解は別で良いのだと、頭より心が先に動く人間でありたいと私は常日頃から思っています。

そして、その味利きをできるようになるべく今日もまた数多くのアニメを見てしまう…エンドロールをまじまじと見ながらそんなことを考えてしまう業の深い生き物、それがアニメヲタクなのだと感じました。

(文/フリーアナウンサー・松澤千晶