学力テストを分析した結果…非常時に強い中学生が〇〇県に多いと判明!?
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学力テストの結果について話題にするとき、わたし達は、ついつい100点満点中「何点」だったかばかりに、注目してしまいがち。
しかし、テストには、いろんな角度から受験者の能力を測るための設問がちりばめられている。
今回は、全国の公立中学3年生を対象にした「全国学力・学習状況調査」で、問題ごとに正答率が集計されていることに注目。
設問の内容と正答率から、非常事態からの脱出成功率に関係しそうな、中学生の潜在能力を明らかにしてみようと思う。
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■数学のテストで「非常口」を見つける問題に注目!
今回の企画で注目したのは、平成26年度全国学力・学習状況調査 中学校第3学年数学Bの問題。
よくある建物の平面図を元に、目的地の方向を案内板の「矢印」で適切に掲示できるかという設問と、平面図上の「非常口」が建物の立体図で見たとき、どの位置にあたるかを答えさせる2つの設問だ。
この設問からは、初めて泊まるホテルなどで「非常口」を平面図から把握するとか、誰かに道順を教える際にどんなナビゲーションをすれば親切なのかというような、現実にありそうなシーンをリアルにイメージできる。
もっと言うと、これが苦手な場合、正確に「非常口」を把握することが難しかったり、ほかの誰かに正確に逃げ道を教えられない可能性がありそうだ。
ここでは非常事態においてそれが、運命を分ける能力差になると仮説して分析してみたい。
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■漢字の正答率も加味してみると・・・
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「非常口」や順路の様な空間把握能力に加えて、非常事態に重要なのは瞬時の情報収集力だ。
例えば「非常口」を探せと言われても、そもそも「非常口」という漢字が読めなければ脱出は困難だろう。
そこで漢字に関する問題の正答率が、正しい情報収集の結果を大きく左右する要素になると考え、漢字の正答率と空間認識の正答率の分布を使って非常時に脱出する際に必要な能力の差を明らかにすることにした。
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■サバイバルできそうな秋田・富山・石川・福井
これらを踏まえた結果が下のグラフである。
グラフの横軸は、漢字の読み書き問題について都道府県ごとの正答率から47都道府県の正答率の平均を引いたもので分布を作っている。
また縦軸は、先ほどの地図と空間認識に関係する設問について、都道府県ごとの正答率から47都道府県の正答率の平均を引いたもので作表。
こうして見ると、秋田、富山、石川、福井は漢字、地図・空間認識能力ともに優れており、的確に非常事態から脱出する判断が備わっていそうだ。
その一方、沖縄や高知は漢字、地図・空間認識能力ともに低い結果に終わっている。
また、地図と空間認識はよくできているが、漢字の正答率で平均以下の島根や、漢字はよくできているが、地図・空間認識能力は平均以下といった青森、山形の様な特徴も見ることが出来た。
いつもと少し違った角度から学力テストについて分析してみた今回の企画。
テストの点数を評価するだけでなく、どんな問題が得意で何が苦手なのかを理解し、ひとりひとりと向き合う事で、意外な能力に気付いたり、苦手を克服する切っ掛けに出来る可能性を学力テストは秘めているのである。
■調査概要
平成26年度全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所、全国の公立の中学三年生が調査対象)の設問別調査結果から都道府県別に、漢字の読み書きと地図・空間把握能力の正答率について可視化した。
地図(空間)把握能力の問題出典:
「平成26年度全国学力・学習状況調査の調査問題(中学校3年、数学B)」(国立教育政策研究所)
(文/かっこ株式会社・成田武雄)