【ネットでお宅拝見】相手の家をGoogleストリートビューで訪問する人たち
Google の研究者たちは、今後も世界中のあらゆる情報を検索ユーザーに提供するために開発を続けていきます
これは、Google社が自社ホームページ内で掲載している「Googleが掲げる10の事実」なる会社理念の中の一文だ。
宣言の通り、Googleが手がけるWebサービスは現在、地図、動画、画像、言語と多岐にわたる。なかでも、高い注目を集め続けるのが「Googleストリートビュー」だ。
検索画面上に住所を入力するだけで、現地に足を運んだかのように写真を見ることができるこちらのサービス。
まだ訪れたことのない海外の地に飛んでみたり、自分の生家を訪れ懐かしんでみたりと、ストリートビューの楽しみ方は人それぞれ。一度使ってみたことのある人も少なくないだろう。
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画像はスクリーンショット
だが、なかにはこのサービスを使って奇妙な行動に走る者もいる。
都内在住のエンジニアTさん(30代・男性)。彼は、ストリートビューを使った「自宅訪問」が趣味だという。
たとえば、名刺交換の相手。住所がわかったらすぐにストリートビューで検索するんです。どんな家に住んでいるのか、ネット上で確かめる。あとはメールの最後に貼られた住所。企業だけでなく、個人の自宅でも、住所がわかれば、まずストリートビューで『訪問』するんですよ
Tさんのように、ネット上で「お宅訪問」をしたことのある人は珍しい存在ではない。
本サイトが実施した以下のアンケート調査は、それを示すものだ。
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◆30代男性4人に1人が「ネットでお宅拝見」経験アリ!
さらに、男女・世代別に見ると「お宅訪問」を好む層が浮かび上がってくる。
Tさんと同じ30代男性では、実に4人に1人がストリートビューで相手の家の前まで行ったことがあるという。
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◆相手の家を見て何が楽しいの?
問題は、Tさんを含め、彼らがなぜこうした行動を取るのかだろう。彼は、自らの行動理由を次のように語る。
家を実際に見ることで、相手にかんする情報が増えるのが楽しいんです。
―「相手にかんする情報」とは?
たとえば、男友だち。彼は、かつて「自宅に女の子を泊めたくないんだよね」と言っていたんですよ。その理由は、彼の自宅をストリートビューを見たらわかったんです。なんだと思います?
―家の周囲になにか問題があったとか?
場所もそうですし、家自体にも問題があった。彼の家は、繁華街から離れた低層住宅地にある築40年くらいのボロアパートだったんです。
外壁は剥げてるし、周囲は寂れた風景。彼の見た目は普通ですが、これなら自宅に女の子は呼べないよなあ、と納得できました。これが「相手にかんする情報」です。
―ほかには?
相手の自宅にかんする情報は、ストリートビュー以外でも入手できます。Google Mapsの表記からマンション名がわかったら、賃貸物件のポータルサイトでマンション名を検索する。ターゲットの家賃や管理費、築年数がすべてわかりますよ。
―それらの情報にどのような価値が?
最近問題になっているネットストーカーには価値ある情報かもしれない。けれど、僕の場合は「こんなところに住んでるんだ」という単なる感想だけで終わりますから、何か価値があるというわけではない。でも、本人が知らないうちに、本人について詳しくなっていくことに高揚感を覚えることはあります。
むろん、Googleストリートビューや物件のポータルサイトを含め、ネット上に公開されている情報自体がすぐに「罪」になるわけではない。
しかし、それが住所という個人情報と出会った時に、危険な香りを漂わせることは確かだ。自分の知らぬところで、ネット上で自宅を見られることに不快感を抱く人も少なくないだろう。
ネットにあらゆる情報が流れがちな昨今。自らの個人情報はどこまで公開すべきか。いま、リアルな場での振る舞いにこそ、強い警戒心が求められているのかもしれない。
(文/しらべぇ編集部)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年5月22日~2015年5月25日
対象:全国20代~60代 男女計1671名