「梅雨入り」は誰が決める?梅雨の疑問すべて答えます!【元井美貴のお天気ラリアット】
こんにちは。天気を予報するのが生業、元気にプロレス観戦するのが生きがいの気象予報士・元井美貴です。
東海や関東甲信地方では6月8日に梅雨入りが発表されましたが、沖縄では早くも6月11日に梅雨明け!
「いつ梅雨入りするの?」や「いつ梅雨明けするの?」と、お天気キャスターとして活動している私にも、梅雨に関する疑問が毎日“浴びせ蹴り”のようにぶつけられます。まるで、2002年に「パンクラス」に参戦した獣神サンダーライガー選手が鈴木みのる選手に仕掛けた浴びせ蹴りのようです!
…とまぁ、毎回プロレスの話で脱線するこのコラムですが、せっかくなのでみなさんの質問にお答えしましょう。
■梅雨って何なの?
気象庁の予報用語では、「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」と定義され、およそ6週間ほど続きます。毎年驚かれるのですが、40~45日ほどなので結構長いですよね。
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■誰が梅雨入りを発表してるの?
気象台が発表しています。各地方の中枢に当たる気象台で発表され、週間予報担当の予報官が資料とこの先の天気(数日から1週間程度)を見ながら検討、発表します。もちろん、気象予報士に発表の権限はありません。
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■宣言じゃないの?
気象庁で情報が公開されるのは、「宣言」ではなく「発表」なんです。注意報や警報も「発令」ではなく「発表」、サクラの開花など生物季節に関する情報も全て「宣言」ではなく「発表」を用いています。
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■そもそも、どうして発表しているの?
大雨への防災意識を高めるため。特に梅雨末期の7月には豪雨になることが多いので、雨の季節への備えが必要です。
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■梅雨入りの日から雨が続く?
梅雨入りや梅雨明けには5日間程度の「移り変わり」の期間があり、気象庁ではその中日を梅雨入り、梅雨明けとして発表しています。「〇月〇日ごろ」と日にちを断定していないのも、そのためです。
■沖縄の梅雨明けが早いと本州も早く梅雨明けするの?
残念ながら…あまり関連性はありません。例えば、2011年の梅雨明けは沖縄では6月9日頃で関東甲信地方では7月9日頃でしたが、2001年の梅雨明けは沖縄が6月21日頃、関東甲信は7月1日頃でした。
また、梅雨入り・梅雨明けともに最初に発表されるのは「速報値」で、後日検討した結果「確定値」として9月に修正されることもあります。
■毎年梅雨は明けるの?
梅雨が明けないまま立秋(8月8日頃)を迎えると、梅雨明けの発表はされません。記録的な大冷夏だった1993年は、九州から東北で梅雨明けが特定できず、発表がありませんでした。
■どこに行けば梅雨がないの?
日本では沖縄から東北にかけて徐々に梅雨前線が北上し、梅雨らしいどんよりした天気が続きます。どーーーうしても梅雨が嫌いな人は…梅雨がない北海道か小笠原諸島へ!(私も行きたいです!)
一言に「梅雨」と言っても、期間中に降る雨の量には大きな地域差があります。6~7月に降る雨量は、青森では200ミリ弱、仙台・東京では300ミリほど、高知では650ミリを超え、鹿児島では800ミリ近く。同じ梅雨でも、地域によって雨の降り方が変わるというわけです。
毎年やってくる「梅雨」との戦いの時期…。“敵”を知ることで、より快適に雨の季節を乗り切りたいですね。
(文/気象予報士・元井美貴)