みんなが上手すぎる?ねこ写真家は撮れないスランプをどう脱するのか【ねこ拝見】
作家・ライター・動物写真家のやきそばかおるです。
今回は街で見かけた猫の写真集「ネコメンタリー」も好評の松本光央さんが撮った三毛猫の写真と、「飛び猫」でおなじみの五十嵐健太さんとで、猫の撮影にまつわる写真家の悩みについて紹介します。
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●三毛猫のいるところ、いないところ
猫が好きな人の中でも、とりわけファンの多い「三毛猫」。
一説によると、海外に比べると日本は三毛猫の数が多いほうだと言われているが、全く見かけないという人もいるようだ。
松本さん:確かに、割合からすれば少ないかもしれませんね。
筆者:まわりに飼ってる人もいなくて…。オスの三毛猫は滅多に生まれないからというのも理由の一つなのかもしれませんけど。
松本さん:割合でいえば、白い猫は少ないと聞いたことがあります。
五十嵐さん:僕の住んでるところ(関東のとある地域)は三毛猫が多いですよ。おそらくいるところにはいるんじゃないかと。地域によっては茶トラが多いところとかもありますね。
筆者:分布図なんかを作ってみたくなりますね。
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●スランプになったらどうしている?
とりわけ猫の写真を撮っている人ならば陥りやすいのがスランプ。お二人もスランプになることがあるのだろうか。
松本さん:実は、今がまさにスランプなんです(汗)。
筆者:そうなんですか!?
松本さん:今は猫の写真を撮ってる人が多いから似通ってしまうんじゃないかと思ってしまうんです。しかも。みなさん、撮り方がうまいから。
松本さんが猫の写真を撮り始めた15年前はまだフィルムの時代。デジタル一眼は2003年頃にCanonからEOS KISSデジタルが発売されてから買ったという。
この頃はおよそ630万画素だった。(ちなみにEOS KISSデジタルの最新機種は約1800万画素)。
松本さん:当時から比べると、写真の撮影も加工も本当に身近になりましたね。
誰でも綺麗な写真が撮れてしまうがゆえに、どうやって他の人との差別化を図るかといったことも悩みどころである。
筆者:荒療治ですけど、新しいカメラの本体やレンズを買うっていうのはありますよね。
松本さん:こないだ単焦点レンズを買いました。シャープな写真を撮りたかったし、意外とハマったのでスランプも抜けるかもしれません。
お金があったらカメラメーカーごと変えたいんですけど、それだとまた新しいレンズを買わないといけないし、カメラのせいにするのもアレかなと思って(笑)。
五十嵐さん:猫の写真を撮っている人はCanonを使っている人が多い気がします。ピントも合いやすいですし。ちなみに、僕はダメもとで撮りに行きます。
とにかく数多く行ったほうが良い気がするんです。ただ、猫がいると分かっているような場所なら良いけど、街で撮影するとなると大変なのでは?
松本さん:いつも会うような猫に、全く出会わなくなる時期はありますね。
五十嵐さんの話では、街を歩くよりは地方の街(特に海辺)の方が、猫との遭遇率は高いそうだ。
五十嵐さん:ただ、いかにも猫がいそうな街だと、他の人もたくさん撮っているから新鮮味に欠けるといったことはあります。
なかなか難しいところである。
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●気温は〇度を超えると辛い…
蒸し暑い日が続いているが、外で撮影する場合、しんどいと思う気温は何度くらいからだろうか。
松本さん:30度を過ぎたら厳しいです。
五十嵐さん:僕も全く同じです。
アスファルトの照り返しが体力を奪う。室内で撮影する場合も熱中症にかかる場合があるため、水分補給はこまめに取る必要がある。
ちなみに、筆者も昔、動物園で撮影をしている時に熱中症にかかって動けなくなったことがあった。
最高気温35度もあるというのに水分補給を怠ったためであるが、1歩を歩くのも辛くなる。足が前に出ないのだ。この時以降、最高気温の予想が31度を超える場合、日中の撮影を控えるようにしている。
五十嵐さん:でも、沖縄の猫に比べたら、まだ良い方かもしれません。
猫は涼しい場所を知っていて暑さ対策は万全なのである。筆者も見習わないと……。
街で見かけた猫の写真の中から珠玉の写真を選んだ「ネコメンタリー」(松本光央:宝島社刊)、猫がジャンプした瞬間の写真集「飛び猫」(五十嵐健太:KADOKAWA刊)もどうぞ。
(取材・文/やきそばかおる 写真提供/松本光央)