「教育」という名の「虐待」が人生を狂わせる

2015/07/14 11:00

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 ■「追いつめる親」が子供をつぶす

本屋の一角に、一瞬体が固まるようなタイトルの本が並ぶ棚がある。

『私は親に殺された! 東大卒女性医師の告白』(小石川真美著、朝日新聞出版)

『毒になる親』(スーザン・フォワード著、毎日新聞出版)

『解縛 しんどい親から自由になる』(小島慶子著、新潮社)

『母という病』『父という病』(いずれも岡田尊司著、ポプラ社)

『家族という病』(下重暁子著、幻冬舎)……。

大人になっても親との葛藤をひきずっている人たちについて書かれた、もしくはそういう人たちが著した本だ。成績が悪いことをなじられて、子が親を殺すという悲惨な事件はときどき起こる。


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■教育熱心過ぎる親が、子供を追いつめる。

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このような事件が報道されると、マスメディアは一様に、「学歴社会の歪み」や「偏差値偏重主義」や「エリート志向」などと批判する。世間知らずのエリート一家が起こした特異な事件として扱う。

しかし、これらは本当に特異な事件なのだろうか。

追いつめられた子が親を殺す事件は、大きく報道される。しかし、追いつめられた子が自殺した場合には、原因もよくわからないまま、自殺件数のひとつして記録されるだけだ。

殺人にも自殺にもいたらなかった場合でも、追いつめられた子が、大人になっても精神的に追いつめられ続けている場合があることが世の中から注目されることは、少ない。


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■「あなたのため」は呪いの言葉

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生きている実感がない。職場でも恋愛でも、どうしても人間関係がうまくいかない。原因は自分でもわからないけれど、いつもイライラしていて怒りっぽい。

そんな、満たされない感覚が常にあるのだとしたら、もしかしたらあなたも、「追いつめる親」の被害者なのかもしれない。

「教育虐待」という言葉を知っているだろうか。

「教育虐待」とは、「あなたのため」という大義名分のもとに親が子に行ういき過ぎた「しつけ」や「教育」のことである。

子供の成績のことでつい叱りすぎてしまったり、勉強を教えてもなかなか理解できない子供をつい叩いてしまったりという経験なら、実は多くの親にあるのではないかと思う。もしくは自分がそうされて育ったという大人も多いだろう。

それも教育虐待なのか、違うのか。どこまでの厳しさは許されて、どこからが教育虐待なのか。教育虐待を受けると子供にどんな影響が出るのか。教育虐待を受けて育った大人はどんな人生を歩むことになるのか……。

「あなたのため」という、親から子への依存によって生まれる教育虐待の闇を照らすため、『追いつめる親 「あなたのため」は呪いの言葉』を書いた。

もしあなたが教育虐待の被害者であれば、本書が、過去の経験を客観視しその檻から抜け出すきっかけとなればと願う。もしあなたが教育虐待の加害者になることを恐れているならば、本書が、その不安を少しでも払拭できればと願う。


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■新刊のお知らせ

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追いつめる親 「あなたのため」は呪いの言葉(おおたとしまさ著、毎日新聞出版、税別1000円)

「教育」という名の「虐待」が人生を狂わせる。「あなたのため」という言葉を大義名分に過干渉を続ける親に育てられ、「生きづらさ」を感じ、自分らしく生きられない子供側の様々なケースを紹介。

教育虐待の闇を照らし、その社会的背景を考察し、「教育とは何か?」「親の役割とは何か?」というテーマに踏み込む。

(文/おおたとしまさ

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