離島への冒険旅行の数々⑦〜癒しの島・竹富島〜【溜池ゴロー、子育てこそ男の生き甲斐】

2015/07/15 11:00

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石垣港から高速船で10分。石垣島周辺の離島の中で、もっとも近くにあり、一番気軽に渡ることのできる島。それが竹富島だ。行ったことのある方はご存知だろうが、竹富島は昔からの風景をそのまま残している。

白い砂を敷き詰めた道と、珊瑚石を積み上げた石垣で区画されている集落では、2階建ての建物はほとんどない。

すべての家は琉球時代から特有の作りで、赤い瓦でできた屋根には守り神のシーサーが飾られている。集落のあちこちにはデイゴの花を見ることができる。

竹富島にワシら家族が初めて訪れたのは、息子がまだ2歳の頃だった。それは、初めての石垣島旅行のときだ。

その旅行での宿泊は石垣島のみだったのだが、どこか離島に行ってみようということになり、港から一番近くの竹富島に日帰りで行ってみることにしたのだ。

そして、古来琉球時代からの風景をそのまま残している島の集落に、ワシら家族は心を奪われてしまった……2歳の息子と手をつなぎながら散歩をしていると、時間があまりにもゆったりと過ぎていく感覚にとらわれ、島全体になんともいえない清潔感が漂っている。

まさに、「癒し」の島と言うにふさわしい場所だ。

散歩をしていると息子が「あ!牛だ!」というので見てみると、たしかに水牛が珊瑚石でできた石垣の間を歩いてくるではないか……しかも、観光客を10名ばかり乗せた牛車を引いている。

息子が水牛に心を奪われた様子で、「あれ、乗る」と言うので、ワシらも牛車に乗ってみることにした。

牛車には、左右に向かい合わせの席があり、15名ばかりの客たちはそこに向かい合わせで座ることになる。そして、牛車の先頭席には、水牛の世話係兼ガイドのようなオジさんが座り、観光客に島の解説をしながら牛を歩かせるのだ。

ワシら家族も、オジさんによる竹富島の歴史や自然に関する解説に聞き入りながら、前の方の席(水牛の尻がすぐそこにある場所)に座り、牛車に揺られていた。

風景も雰囲気も最高だった……のだが、ただひとつ……どうしても水牛から発せられる鼻をつくような匂いだけは我慢するしかなかった。

2歳の息子は、ワシの膝の上にちょこんと座り、周囲の風景や水牛の動きを一生懸命に見つめている。ワシは、水牛の匂いに我慢しながらも、息子を膝にのせ、こんな状況にいることに大きな幸せを感じていた……

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牛車に揺られ、竹富島の風景と真っ青な空を眺めながら……人生において妻と出会え、そして息子がこの世に生まれてきてくれたことに、ワシは心の中で大きな感謝をしていた。

ワシは、膝の上にいる2歳の息子をあまりにも愛しく感じ、思わず腕にぎゅっと力が入ってしまった……そんな時だった。ガイドのオジさんが三線(沖縄地方特有の楽器で蛇の皮でつくった三味線みたいなもの)を取り出し、歌を歌いだした……

それは、「安里屋ユンタ」という歌だった。ご存知の方もいらっしゃるだろうが、「♪君は野中のいばらの花か サーユイユイ♪」という冒頭で始まる歌である。

ワシも以前どこかで聴いた覚えのある歌だったが、この歌は竹富島に実在した女性に関する、ちょっと悲しい歌だそうだ。

ガイドのオジさんは、先ほどまでの面白おかしく喋っていた雰囲気とは打って変わって、三線を上手に引きながら美声で歌いだすではないか……

心の中で、息子が生まれてきたことに感謝し、膝の上に座る息子にあまりにも愛しさを感じていたワシは、このタイミングでこんな歌を歌いだされ、不覚にも涙がドドーっと流れ出てしまった……

「なんだよ〜、オジさん、ずるいよ〜〜。こんなときに歌いだすんだもんなあ……」と心の中で思いながら、こんなオッサンが涙をボロボロ流す姿を見られるのも恥ずかしいので、必死になって涙を隠していたのだが……

見ると、前に座る知らないオバさんもボロボロ涙を流していた。

「そうか、泣いてるのワシだけではなかったのか」とホッとしながら、さらに涙を流し続けてしまったのだが、あらためて息子と妻をもっと幸せにしようと心に誓うワシだったとさ。

これ以来、ワシら家族にとっての竹富島は「癒し」の島になり、毎年行くことになった。 

竹富島に行く度に、このときのことを思い出し、息子の成長を見つめ続けていこうという気持ちがまた新たになるのだった。そして、息子も毎年成長していくと共に、この島でいろんな経験をすることになっていく。

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次回も竹富島でのことを書くことにする。今回は以上。

(文/溜池ゴロー

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