頭を空っぽにして心のリセット?バカンス大国イタリア人的「夏休みの過ごし方」
いよいよ夏も本番。夏休みの準備は万端ですか? バカンス大好きで有名なイタリア人達はもうすっかり夏休み気分。8月はほぼ1ヶ月に渡り街がゴーストタウン化するほどバカンスを楽しみます。バカンスのために働くと言っても過言ではないイタリア人達の夏の休暇の過ごし方について、イタリア滞在7年の過去を持つ筆者がお伝えしたいと思います。
バカンスの意味
そもそも、バカンスという言葉の意味をご存知ですか? イタリア語ではバカンスのことをヴァカンツァ(vacanza)と言いますが、語源は英語のvacantと同じで「空っぽな」という意味。つまり、普段の生活から離れて頭を空っぽにしてリセットするための時間なのです。
イタリアでは2~3週間の夏休みを取るのが当たり前ですが、その間は基本的に仕事にはタッチしません。それどころか、職場でもバカンスの1週間前から「今年はどこに行くの?」という話題ばかり。バカンス後の職場も「どこに行った? どうだった?」の話に夢中なので、結局は丸1ヶ月ほとんど仕事が手に着かない状態。
日本では個人商店などがお休みをとる場合、「誠に勝手ながら、下記の期間お休みをいただきます」という内容の張り紙をすることでしょう。これもイタリアでは「Buone vacanze!(良いバカンスを!)」なんて書いておしまいです。休む時には、周りを気にせず思いっきり休む。それがイタリア式バカンスの大前提です。
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行き先は、夏を楽しめる場所へ
イタリアではクリスマスやイースターの休暇もしっかり休みますが、それらの休みは家族の集まりなどが優先されがちです。年間の休暇の中で夏が一番長く自由な休みなため、みんなとても楽しみにしています。日常から離れるためには、場所のチョイスが最も大切。日本人のように、詰め込み型の旅行やレジャー計画は立てません。長期滞在型の宿泊を利用して、2~3週間のバカンスをひとつの街でのんびりと過ごします。
行き先はほとんどの人が海。どれだけたくさんのイベントをしたとか、どれだけたくさんの観光地を巡ったとか、そういうことはイタリア人にとってはまったく価値のないこと。どれほどの美しい海を見たかだけが、彼らにとって最上のバカンスを決めるポイント。そしてどのくらい日焼けしているかも重要。休暇後に「あらー、きれいに日焼けして、一体どんな素敵な場所に行ったの?」と聞かれることがイタリア人にとってのステータスなのです。
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とにかく何もしない
滞在先を決めたら、とにかく何もしません。空っぽになることが目的なので、バカンスの間は何もしないことを楽しみます。海では、浜辺でとにかくぼーっとしたり、おしゃべりしたり、読書やワードパズル(クロスワードや数独)をして時間をつぶします。お腹が空いたら、地元のおいしいものを食べる。日常の仕事や、都会の人間関係のストレスから離れて、ただ5感を満たす。そんなシンプルな過ごし方をするからこそ、場所選びがとても大切なのです。
家族や友達など、大切な人と美しい海を眺めて美味しいものを食べる。それこそ最高の思い出作りですよね。こうして頭を空っぽにして心のリセットを上手にしているから、イタリア人たちはあんなに明るく日々を過ごして、ロマンチックに愛を語る感受性が生まれるのかもしれませんね。
この夏の予定がまだ決まっていない人も、これならお金もかからず、計画もしなくても簡単にリフレッシュできるかもしれませんね。是非お家を出て数日だけでも日常から離れた場所で「何もしない」というイタリア式バカンスの過ごし方を是非ためしてみてはいかがでしょうか?
(文/しらべぇ編集部・砂流恵介・辰巳真理)