サラリーマン必読!仕事で致命的なミス…会社から損害賠償請求されたら支払義務は?
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人間のやることにはミスがつきもの。一生懸命働いていても、不可抗力や見込み違いにより、会社に損害を与えてしまうことはよくあること。しかし、こういったミスは会社から損害賠償を請求されないのだろうか。富士見坂法律事務所の代表でもある、井上義之弁護士に聞いてみた。
■ 従業員のミスによる損害は、原則会社が負担
「従業員のミスによって生じた会社の損害を全て従業員が負担しなければならないとすれば、会社に比べて資力に乏しい従業員にとって酷です。事業上のリスクは、それにより利益を得ている会社が負担するのが原則。
従業員が業務上会社に損害を与えた場合、故意による場合を除き、その損害賠償責任は制限されると解されています」(井上弁護士)
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Q.損害賠償責任が制限されるのはどういう場合なのか
「責任制限の検討にあたっては、さまざまな事情が考慮されます。従業員の地位・職務や会社のリスク防止措置の有無といった事情のほか、従業員の落ち度の内容・程度も考慮されるのです。
従業員に重大な落ち度がない場合には、会社からの損害賠償額が軽減されたり、会社からの損害賠償請求が認められないのが一般的でしょう」(井上弁護士)
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■そのミスは防げたのか、不可避だったのかが重要
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この落ち度という面をさらに詳しく、遅刻という例で考えてみよう。例えば、時間ギリギリに家を出たところ、人身事故で電車が遅延し、大事な商談に障りが出て、結果的に会社に損害を与えた場合はどうだろうか?
「遅刻について、その従業員に落ち度がない場合、従業員が会社に対して損害賠償責任を負うことはありません。これに対して、落ち度がある場合、債務不履行又は不法行為として、損害賠償責任を負うことがあります。
鉄道会社と乗客との間には、ある地点まで乗客を運ぶという契約が成立していますが、原則として決まった時刻までに到着することは契約内容に含まれていません」(井上弁護士)
ミスを予測しつつも、回避するための注意や行動を怠っていなかったかどうかが重要になってくるということを忘れてはならない。この場合、電車が遅れて遅刻する場合もあるということがミスの予測で、それを回避するための行動を取ったかどうかが問われるところだ。
距離や交通の状況にもよりけりだろうが、ギリギリよりも少し早めに出発することが肝心であろう。