元販売員のスタイリストが体験した「神接客」と「ガン萎え接客」
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こんにちは、スタイリストの久保田(フランソワ)です。 私も元はアパレル販売員なので接客の難しさは分かっているつもりですが、それでも最近あまりに萎える接客を受けることが多くて買い物が楽しくありません。
そこで今回は、今までにアパレル店で体験した「欲しい物でも買う気が失せる接客トーク」と「思わずいらないものまで買っちゃう神接客」を発表したいと思います。※すべて久保田の主観です。
■ガン萎え接客トーク(×)
×「それ今日入ってきたばかりなんですよ!」
→手っ取り早いセールスポイントなのは分かるんですが。客からすれば「で?」っていう感じに。
×「私も買っちゃいました!」「うちのスタッフもみんな持ってて〜」
→そう言ってる店員さん自身がステキに着こなせてるならいいのですが……つられて欲しくなるほどではないことの方が多いです。
×「すごく人気で最後の1点なんです」
→わあ、じゃ今すぐ買わなきゃ! とはならない。むしろみんなが持ってるなら、いーらない。
×カップルの女性側ばかりにゴリゴリ接客する
→女性服店に彼氏連れで来た客の場合、彼氏を完全に無視して女子にばかり熱心に話しかけているのをよく見かけますが、これは×。実は男性が主導権を握っていたり、実際にお金を払うのは彼氏という場合も少なくありません。
何よりカップル双方が盛り上がれば、お買い物を楽しんでもらえるじゃないですか。
×無言でめちゃめちゃこっちを見てくる。しかも、真顔で。
→自分が着ている服と全然テイストが異なる店に入ったときなど、たまにあります。「えっ、なんであんたがウチの店に?」って思いっきり顔に書いてあるけど、こちとら毎日同じテイストの服ばっか着るわけじゃないんです。
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■場合によってはOK? アリ寄りのナシ(△)
△「何かお探しですか?」
→目的があって来店している時ならいいのですが、多くの場合は「とくに何ってわけじゃないけど良いものがあれば買うかもね」くらいのテンションなんです。となると、毎回その気持ちを店員さんに説明するのは面倒。
△「他のお色もありますので」
→「あっ、ホントに? 実は違う色あったら見たいなって思ってて」っていう場合はいいけど、たいていは「中でもこの色が気になったから見てるわけ」なんで、この情報は要りません。あと、ほとんどの場合、自力で他のお色は探せます。
△「よかったらご試着もできますので」
→うん、知ってる。普通そうだよね。でも、Tシャツとかキャミとか「試着NGな店もある商品」の場合にはこの声かけが助かります。
△「あ! そのジャケット、ウチのですね」
→いや、確かにそうなんだけど、ドヤ顔でそれ指摘されたこっちはどうすりゃいいのよ? でも「すごく似合ってますね! ナイスコーデ!」とかホメ言葉をプラスしてくれるのなら、まだアリかも。
△2言目からすでにタメグチ
→タメグチには客との距離を一気に詰める効果もありますから、使いどころさえ間違えなければ良い接客テクニックです。
109(マルキュー)みたいな10代~20代前半向けカジュアル店なら気軽に使ってもOKでしょうが、デパートや年配客相手の場合には注意が必要です。
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■個人的にツボだった神接客(◎)
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◎「正直あまりオススメしませんけど」
→つまり、商品の良さだけでなくデメリットも正直に言う人。「買わされるんじゃないか?」という不信感を、一気に信頼感に転換できます。もちろん、全て良い品物なんでしょうけど、人によって似合う・似合わないは当然あるはずですからね。
仲良くなった店員さんならまだしも、初対面からこういう正直な接客をされると思わず買いたくなります。
◎「あ、こんにちは」(人懐っこい笑顔で)
→某店の男性販売員さん、作業に夢中で最初私が入店したことに気づいてなかったんです。で、ふと気づいたとたんに人懐っこい笑顔で「あっ、こんにちは」と。
これには思わず笑顔で「こんにちは」と返してしまいました。そこからはごく自然に会話が始まり、何とも居心地の良い滞在時間を過ごすことができました。
その日は何も買いませんでしたが、彼から買いたくて後日また来店してしまいました。
◎「よかったらお手伝しましょうか?」
→これは女性化粧品売場で、男ひとりでプレゼントを探しているときにかけられた言葉なのですが。ポイントは「プレゼントですか?」と決めつけていないところ。見た目男性でも自分用の化粧品を探しているケースもありえますからね。 前述の「何かお探しですか?」よりも、一緒に探したい、という親切心が強く感じられて、とても嬉しかったです。
ただでさえ不馴れな化粧品売り場に男ひとりというアウェイ感の中、こんな声かけは素敵だと思います。逆に男性売り場に女性がひとり、という場合にも同じことが言えるでしょう。
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■お互いにとって良い距離感がベスト
本当は接客側も、毎日困っているんです。無視されたり、クレーム受けたり、言葉が通じなかったり……は日常茶飯事ですから。
だからこそ、お互いにもう少しだけ相手を思いやることで、接客&ショッピング双方がもっと楽しくできたら最高です。
(文/久保田フランソワ)