震災乗り越え「標高日本一の地下鉄」八木山動物公園駅が開通
さる12月6日、着工からじつに9年の月日を経て仙台市地下鉄「東西線」が開通した。
東日本大震災の影響で工事が一時ストップしていたこともあり、多くの仙台市民がこの日を待ち望んでいた、いわば待望の日。
仙台市の東西を結ぶ全13.9kmの路線。この最も左端、西の終点駅が「八木山動物公園駅」だ。
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■仙台市街地を一望できる絶景
その八木山動物公園駅、なんといってもその最大の特徴は「地下鉄」といいながら、日本一「標高の高い」駅であること。
これまでの日本一は、神戸市地下鉄西神・山手線の総合運動公園駅(標高103メートル)だったため、136.4mの「八木山動物公園駅」は一機に30メートル以上の差をつけて上回ったことになる。
そして、これは偶然の産物などではない。仙台市と地元住民が設計の段階から「標高日本一」になるように計画、建設したのだ。
完成を受けて住民たちは「東西線関連八木山まちづくり研究会」を結成し、日本地下鉄協会に調査を依頼。その結果、同協会は、全国の地下鉄駅でもっとも高い場所にあると公式に認められたとのこと。
なお現在、仙台市はその記念プレートを設置することを検討中。地域住民と協議し、デザインなどを取り決めていく見通しだ。
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■屋上にはこんなスペースが
八木山動物公園駅構内にあるエレベーターにはこんな表示が。「八木山てっぺんひろば」とは何だろうか? 向かってみると…
立体駐車場の屋上には広々とした空間が出現。芝生やウッドデッキが備えられ、とても地下鉄の駅とは思えない。
「てっぺんひろば」というネーミングは、この駅が構える八木山地区の小中学生から公募し集まった161件の中から決定したもの。
まさにこの地下鉄開業は、地元住民を挙げての一大イベントであったのだ。
てっぺんひろばからは仙台の街が一望できる。取材日はあいにくの曇り空であったが、天気がいい日は最高の眺めだろう。
よく晴れた日には太平洋まで見渡せるそう。夜になればきれいな夜景も見ることができる。
写真撮影用のスペースもばっちり設置されている。
反対側には、隣接している八木山動物園への入り口が。仙台駅などから地下鉄で来たその足で、すぐに動物園へ入園できる。
地下鉄開業に湧く、八木山地区。急な坂が多く、ひとたび大雪となるとバスも運休、陸の孤島となるそんな地域であった。
ちなみに、仙台地下鉄東西線の経済効果は約200億円と見込まれている。被災地の復興はまだまだ途上だと言われているだけに、これがなにかのきっかけになることを願うばかりだ。
住民たちの想いが込められた八木山動物公園駅。一風変わった駅の屋上から見えるのは太平洋だけではない。東北の明るい未来もまた、見渡せるのではないだろうか。
(文/しらべぇ編集部・かずきち)