豆腐が魚にしか見えない!現代精進料理のクオリティがスゴい
精進料理といえば、お坊さんが食べる質素な食事というイメージがある。だが、最近の精進料理はかなりスゴいらしい。
それを作っているのは、東京・目黒にある五百羅漢寺。こちらでは、参道脇にある店で一般客にもその「スゴい精進料理」を出しているそうなので、実際に行ってみることに。
お店に着きコースの料金を確認すると3,500円と、一般的な日本料理店と同じぐらい。見た目も普通の会席料理と同じようだが、あとで衝撃の事実を知ることになる。
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■しっかりとした味付け
はじめに出てきたのは、味噌タレたっぷり「ごま豆腐」。生ごまをよくすり、葛と昆布のだし汁を混ぜて40分以上練ったうえで作られる1品。濃厚で密度が濃い。自然の甘みを感じる。
お次は、「湯葉寿司」。しいたけとニンジンを混ぜ込んだ酢飯に、丁寧に湯葉が巻かれている。大豆や昆布などの自然由来の旨みたっぷりのダシが効いていた。
すりおろしレンコンと白玉粉をあわせて蒸した「ハス餅」は、噛んだ途端もっちりとした弾力。そえられた小松菜とミズガラシも一緒に、ほんのり塩気を感じる上品なスープで口に流し込む。
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■まさか動物由来?!
続いて「鰆(さわら)湯葉」。料理を見たときには「あれ、精進料理って魚も出すんだ」と思ってしまったが、じつはこれ、豆腐の裏ごしを焼き魚に見立てた1品。魚の皮のかわりの海苔がリアルで、味も見た目もほぼ焼き魚だ!
こちらは「柿芋餅と舞茸の天ぷら」。本物の柿ではなく、ジャガイモとニンジンをゆでて裏ごしたもの。柿のへたはしいたけを梅の形にくりぬいている。
薄衣のついた舞茸を、旨みたっぷりの天つゆにつけていただく。もはや精進料理だということ忘れていた。このつゆもまた、醤油・みりん・米の煮汁から作られている植物由来。
最後に、大根がゆが登場。五分立ちの米粒は、ねっとりとした甘みがある。上に乗せられているのは大根の葉。
シメは、果肉のギッシリつまったメロン。
意外にも、大満腹である。
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■寺の名物も忘れずに
ちなみに、このお寺の名物は、305体にのぼる「羅漢像」。ヒノキ製の仏像。 1体ずつ表情が違い、お風呂に入っていたり、居眠りをしていたりと様々なポーズをとっている。
江戸時代には様々な表情をしたこの羅漢の中に「自分そっくりな人がいる」または「亡き大切な人に会える」と言われ、空前のブームが起こったという。
現在、六本木ヒルズにある森美術館では、美術家 村上隆氏によって制作された全長100メートル(世界の絵画史上最大級)に及ぶ超大作《五百羅漢図》が見られるそうだ。
伝統的な精進料理も、時代に合わせ進化しているのだろう。まさにアートといっても過言ではない。五百羅漢寺で“食の芸術”である精進料理を食べたあとは、森美術館でさらに芸術を楽しむのも良いかもしれない。
取材協力:村上隆の五百羅漢図展
(取材・文/しらべぇ編集部・大木亜希子)