バラエティ番組の技が満載!テレビマンが「世界史の本」を書いた理由

2015/12/25 10:30


角田1

ある「世界史の本」が、売れに売れている。Amazonの「世界史ジャンル」でランキング1位となっているその一冊を書いたのは、じつは学者や専門家ではなく、TVプロデューサーなのだ。


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■なぜテレビマンが「世界史の本」を書いた?

著者の角田陽一郎氏は、TBS勤務。『さんまのからくりTV』 『中居正広の金曜日のスマたちへ』といった誰もが知る人気番組のディレクターを務め、現在はいとうせいこう・ユースケサンタマリアがMCの深夜番組『オトナの!』を手がける。

世界史の本はちょっと畑違いにも見えるが、話を聞いてみた。

「今回の本は「最速」と題したせいか、今まで書いた本の中で最速で重版がかかりました(笑)その前に書いたのが『成功の神はネガティブな狩人に降臨する―バラエティ的企画術』という本なのですが、じつはこの2冊は双子のようなものなんです。


前の本が『バラエティ的』企画術だとしたら、この本は『バラエティ的』世界史バラエティ番組にはさまざまな技がありますが、多くの情報を最速で身につけてわかりやすく伝えるのもテレビマンとして培った技術です」


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■テレビ番組の発想で世界史をまとめてみた

バラエティ番組的な情報のまとめ方も、この本の興味深いポイントだ。

「『水』『約束』『お金』など、24のキーワードでくくりながら、読む順番が時間軸になるようにまとめてみました。あと、歴史の本なのに『未来の話』を書いたのにも理由があって。


現代史を語るためには、今の視点で見るより未来に触れてから俯瞰したほうがわかりやすい。世界史の本なんですけど、あとがきを本文から抜粋した日本史の話にしてあります。バラエティ番組でいう『エンドロール』のように書きました。


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■ふだんに使える「バラエティ的」考え方

角田2

この本にとどまらず、「バラエティ的な発想」はさまざまなシーンで役立つと角田プロデューサーは語る。

「新しいアイデアには2種類あって、ひとつは本当に新しいもの。もうひとつは『組み合わせ』の新しさ。組み合わせ方は無限にありますよね。


たとえばLGBTの人はバラエティ番組で重宝されていますが、男性・女性だけよりも組み合わせが増える。またゲイの人なら好きな男性のタイプでも『受け・攻め』と2パターンあったりして、こうした個性が話のバリエーションを増やしていくんです。


アイデアとアイデアの掛け算もありますが、『あることを☓いつやるか』という掛け算もある。この本も夏の1ヶ月で一気に書きましたが、その間に中東情勢などさまざまな出来事があったことで内容が変わっていきました。


状況の変化をとらえるバラエティ的目線は『ワイプ』に近い感覚。VTRを見て笑っているワイプの中の関根勤さんを視聴者が見て笑う、という日本で発明された手法です。


うまくいかないときも、『それ、面白いじゃん』と客観的に捉えられると失敗と成功が逆転したりします」


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■人生で最速なのは「回り道」

「英語が身につく20の方法」があったとしても、それは誰かが試行錯誤して選んだもの。効率を求めるとついこうしたセオリーに走りがちですが、それが合っているのは一定の条件下のはずです。


効率化はバッファを削っていきます。でも、番組づくりも人生でも『バッファ』こそが面白い。だから、今までの成功・失敗や決まりきった形にとらわれずに、幅広く何でもやってみたほうがいいんです。


『回り道が最速だ』ということに気づいている人は多くないですから」

「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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