特撮に登場するクルマの元ネタ3選 【出口博之のロック特撮】
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。皆さん、特撮番組に欠かせないと思うものは何ですか?
かっこいいヒーローや主人公を支える仲間、魅力的な悪役…たしかに、彼らがいなければお話が成り立ちません。ですがもうひとつ、重要な存在があります。それは「メカ」です。
なかでも専用車両は、ヒーローと人馬一体となり現場に駆けつけピンチを救う、もう1人の主人公なのです。そんな最新鋭車両の魅力に迫るべく、元ネタとなった車両を調べてみました。
なお、解説には、車好きなミュージシャンでもあり、モノブライトのライブサポートとしても参加しているカルメラのトランペット、小林洋介氏にもご協力をいただきました。
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①ライダーはバイクだけにあらず!
仮面ライダーの乗り物といえばバイクですが、仮面ライダードライブ(2014年放送)は「トライドロン」という車に乗る、これまでにはない仮面ライダーとして話題になりました。
トライドロンは仮面ライダードライブの相棒、という立ち位置にいるので、単なる移動手段の乗り物ではなく、主人公と同等の役割(極端に言うと人格)が与えられています。
このトライドロンの元ネタ車両は「HONDA NSX」という車両です。NSXとはどのような車なのでしょうか。
—小林氏「ホンダが世界に誇るスーパーカー。運転に高い技術を必要とし、プロのレーサーも扱いに手こずるほど。
アイルトンセナがかつて愛した名車としても有名。セナが生前乗っていたNSXはオークションで1,400万の値がつきました」
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②装備充実のメタルヒーロー車両
宇宙刑事ギャバン(1982年放送)から始まるメタルヒーローシリーズには、魅力的なメカや車両が多く登場します。
警察組織に籍を置くヒーロー、特急指令ソルブレイン(1991年放送)の隊長ソルブレイバーが乗るのは、最高速度780キロを叩き出す「ソルギャロップ」という専用車両。
ベース車両は「トヨタ セラ」、とくに目立つ改造は、大きな回転灯と足回りのディティールアップという簡単なものに留まり、ほぼ実車そのままで使用されています。
—小林氏「トヨタが作った、誰でも気軽に乗れる日本で初めて販売されたガルウイングを搭載した一般乗用車。
エンジンはカローラと同系統のエンジンを搭載。劇中設定の最高速度(780キロ)を出すとバラバラになります」
※ガルウイング=ドアが上方向に開く形状
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③これぞスポーツカー!
怪獣や外的からの脅威から人類を守るため常日頃のパトロールを欠かさない、防衛チームの専用車両を見てみましょう。
帰ってきたウルトラマン(1971年放送)の防衛チーム「MAT」が使用する車両はマットビハイクル(MAT VEHICLE)です。
英語の読みは「マットビークル」なのですが、どこかで間違えたらしく「ビハイクル」になってしまったという逸話があります。
間違いがそのまま正式名称になるパターンは、今では考えられませんが、昭和特有の良い意味での大らかさが伺えますね。ベース車両は「マツダ コスモスポーツ」です。
—小林氏「世界初のロータリーエンジンスポーツカーで、当時の価格で148万(現在の価値にすると約2,300万円)。
当時、最も過酷だったドイツの84時間耐久レースでは見事完走し、総合4位と好成績を収めています。京本政樹さんの愛車としても有名です」
特撮作品ではありませんが、劇場版アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』には、コスモスポーツが劇中の組織の車両として登場します。
エヴァの監督は日本トップレベルの特撮ファン(なかでも『帰ってきたウルトラマン』は学生時代に同作品の自主制作映像も作るほどの入れ込み)であり、今年公開のシン・ゴジラも監督される、ご存知、庵野秀明監督。
ですから劇中に登場したのはコスモスポーツでなく、「マットビハイクル」なのです。
ほかにも、円谷作品からのオマージュが多く盛り込まれており、なんとエンドロールには「円谷プロ」と『帰ってきたウルトラマン』がクレジットされていますので、ソフトをお持ちの方はチェックしてみてください。
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■今後も注目
現在では、過度に改造された車両を用いての公道での撮影が困難になっているので、車両が活躍する場面が少なくなっている風潮があります。しかし、仮面ライダードライブではヒーローとして生まれ変わった車両が疾走する姿(敷地内やサーキットでの撮影ではありますが)を毎週楽しめました。
今後もヒーローとともに戦う特殊車両が活躍することを願っています。
(文/モノブライト・出口博之)