『開運!なんでも鑑定団』が守り続ける「変えない」強さ
ここ最近、世間で急に騒ぎになっている『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)の番組リニューアル問題。
話題は、石坂浩二とプロデューサーの確執・発言カット問題や、女性アシスタント日本記録を達成しながら卒業となる吉田真由子に集中しているが、番組をこよなく愛する筆者としては、「リニューアルを機に司会者以外もいろいろ変えてしまうのではないか」と懸念している。
■『鑑定団』の勇気が見える決断
長寿番組を支えているのは、「変えない勇気」である。 短期的に視聴率がふるわないからと言って、先人の積み上げた伝統をリスペクトせず、安易にテコ入れすることは決して良い結果を生まない。
たとえ「マンネリだ」と言われても、我慢して変えなかったことで『のど自慢』(NHK)も『笑点』(日本テレビ)も継続し、視聴者側が代替わりしても受け入れられているのだ。
もちろん、かの『サザエさん』(フジテレビ)ですら、毎回3本だったエピソードを一時的に4本にしたことがあったように、どんな番組でも試行錯誤する時期はある。
『鑑定団』とて、まったく変わらずにここまできたわけではなく、昔は「お宝買います」のコーナーや「素人目利き選手権」なんていうのもあった。
しかし、いろいろなところを「あえて変えない」ことこそが、この番組らしさなのだということを、ここで改めて強く主張したい。
中高年向け番組ということで視聴者側も変化を望まないというのもあろうが、それ以上に「骨董」という悠久の歴史を持つ題材を扱う番組であるからこそ、せわしなくリニューアルするのではなく、何事も長く続けようという心がけがあるのだ。
その最たる証拠が、
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■オープニング主題歌に出張鑑定団、ナレーターも変わらない!
たとえば、オープニング主題歌もそうだ。同番組では、開始当初からずっとザ・ビートルズの『HELP!』を採用しており、もはやビートルズになじみのない若年層にとっては「鑑定団で流されてるやつ」と言ったほうがとおりがいいくらいである。
出張鑑定団を長年支える松尾伴内も変わらない。2010年代に入り、石田靖や原口あきまさなどの芸達者がコーナー司会者陣に加わり、彼の行く末も心配されたが、頻度は減ったものの今も変わらず全国に出張している。
また、その出張鑑定団のコンパニオンもベテランが多い。 2003年からすでに12年以上務めている新妻さと子を筆頭に、もともとレースクイーンだったのが鑑定団をずっとやっているうちに「釣りドル」になってしまった永浜いりあなど、今日も変わらぬ面々が脇を固める。
そもそもを言えば、21世紀になってだいぶ経つこの時期に、司会者がでかい蝶ネクタイをつけたコーナーが続いていること自体、ややどうかしていると思えるが…。
ナレーターも、番組開始から銀河万丈と富永みーなが支え、鑑定士も中島誠之助、北原照久のふたりは当初からのメンバーである。
このように見ていくと、この番組がいかに「何事においてもできるだけ変えないこと」にこだわっているかがわかるだろう。
それが強さだとわかっているからこそ、4月の番組リニューアル時には司会以外、拍子抜けするほど変わっていない鑑定団が観られることを期待している。
(文/前川ヤスタカ)