男性ももっと上手に愚痴を言おう!
■心の健康に対する男女の意識差
昨年12月から、従業員50名以上の事業所に対して、ストレスチェックの実施が義務づけられました。定期的に従業員のストレスについて調査を行い、本人のその結果を通知し、さらに検査結果を集団的に分析して職場環境の改善につなげる取り組みです。
前日、ある人材会社による「メンタル・ストレスに関する調査」が発表され、インターネットで話題となっていました。男女によってかなり回答が違ったからです。
出典:All About
まとめると以下のような違いがありました。
●心の不調によって休職した同僚に対して、女性のほうが共感的である。逆に言うと、男性は冷たい。
●メンタルヘルスのために、女性は愚痴をため込まずにはき出す傾向があるが、男性は「とくに気をつけていることがない」という回答がいちばん多かった。
「愚痴を言うだなんて男らしくない」みたいな価値観が未だに強いのかもしれません。でも自殺者の割合は圧倒的に女性よりも男性のほうが多いということは有名な話です。もっと上手に愚痴が言えて、支援者を得られれば、最悪のケースは防げるのかもしれません。
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■男はみんな「できそこない」
ところで、私は生物学者・福岡伸一博士の『できそこないの男たち』という本が大好きです。
その本によると、「生物の基本仕様としての女性を無理矢理作りかえたものが男であり、そこにはカスタマイズにつきものの不整合や不具合がある。つまり生物学的には、男は女のできそこないだといってよい」ということです。
何のためか?
「ママの遺伝子を別の娘に届ける」という運び屋として。
しかし、ただ運び屋として利用するだけではもったいないということで、外敵から守ることだったり、食料を取ってくることだったり、前人未踏の危険な土地を冒険させてもっと住みやすいところがないかを探させたり……。邪魔にならない程度に子育ても「手伝う」ようになりました。
要するに、オスはメスのパシリとして創造されたわけですね。
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■オスは弱いからこそ強がっちゃう
さらに、京大の総長・山極寿一博士の『家族進化論』によれば、ゴリラのように屈強なオスのボスザルがハーレムを作り君臨しているのも、結局はそのほうがメスにとって都合がいいかららしいのです。
逆に、ニホンザルのように、ボスザルはいても、複数のメスが複数のオスと乱交するような群れを形成している種では、オス同士の緊張が増さないように、普段メスはとりあえずボスザルと交尾をするけれど、妊娠の確率が高い時期にはボスザルの目を盗んで好みの雄と交尾するそうです。
すべては女性の手中にある。つまりもともとオスは、メスの手のひらの上で転がされるようにできている。人間も同じです。 最近の人間社会では、オスがやたらと威張っているように見えますが、実はオスって弱い存在なんです。なのに、無理しちゃう生き物なんです。弱いからこそ強がっちゃうのでしょうね。
男性自身がそれを素直に認めれば、メンタルヘルスの改善はもちろん、長時間労働の抑制や女性の活用、少子化対策など、世の中いろんなことがうまくいくようになるのではないかという気がしてしまいます。
※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」とのコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日10:30am。記事更新の約10分前から、おおたとしまさがこのラジオで記事と同様の話をおしゃべりします。
(文/おおたとしまさ)