205系の新天地!ジャカルタを走る日本製車両の今
昨年12月、JR東日本管轄の南武線で運行されていた205系が大きなニュースになった。日本での最後の勤務を終えたあと、インドネシアへ譲渡されることになった、あの車両だ。
車掌の感動的なアナウンスも話題を呼び、205系は貨物船に積まれ遠い南の国へと運ばれた。
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■中古車両を導入する理由
なぜ日本製の中古車両を、インドネシアで走らせるのか? 日本とインドネシアの線路幅の規格は同じ。従って、多少の車両調整のみですぐさまジャカルタの線路を走らせることができるのだ。新興国側にとって、これほどありがたいことはない。
インドネシアにも「INKA社」という鉄道車両製造を手がける企業は、たしかに存在する。だがこのINKA社、生産キャパシティーに大きな余裕のある会社ではない。
フル稼働でも年に40〜50両程度の生産が限度で、しかも発動機はボンバルディアなどの海外メーカーに頼っている。要は、国外から中古車両を輸入したほうが早いのだ。
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■日本の子供たちの塗り絵
ジャカルタにも、日本同様の通勤ラッシュがある。車道を見れば渋滞、電車を見れば寿司詰めという状態だ。あらゆる行政本部、外資支局が一極集中しすぎたジャカルタは、公共交通機関の拡大整備が急務。
つい先日まで南武線で活躍していた205系は、今や忙しいジャカルタの朝夕を駆け抜けているのだ。そんな車内を見渡してみると、日本の子供たちが描いた塗り絵が各所に掲示されている。
「かいがいでも がんばってね」
その期待通り、ジャカルタに輸出された車両は毎日数万の市民を運んでいる。
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■メイド・イン・ジャパンの信頼性
日本製の車両は、現地の鉄道運行会社からも高評価を得ているようだ。ジャカルタで働く車両の中には、旧国鉄時代に作られたものもある。じつを言うと、現場ではその頃の車両のほうが堅牢で、信頼性もあると評判らしい。
鉄道というものはメンテナンスさえ完全なら、何十年という長きに渡り動かせるものだ。それに日本製の工業製品は、インドネシアでも「丈夫で高性能」というイメージで知られている。「日本のお下がりなんて嫌だ!」などと考える市民は、まずいないと言っていい。
これからも日本製中古車両は、ジャカルタの交通網の中心的存在として注目されるだろう。