ニャンと100匹!瀬戸内海「ネコだらけの島」は今?
四国・愛媛県大洲市沖の瀬戸内海に浮かぶ離島「青島」は、全人口が15人。ただしネコなら100匹以上いる。
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■突然の「ぬこブーム」
一日2往復しかない連絡船を下りるやいなや、出迎えてくれるネコの群れ。エサが十分足りているのか、いずれもつややかな毛並みである。
島が「ネコの楽園」として知られるようになったのは2013年頃。愛好家がブログで紹介したところ、ネコを目当てに観光客が国内外から集まるようになった。
それ以前は交通の不便さもあって、島へ渡るのは島民とその関係者か釣り人がいる程度。ネコの話は、連絡船の出港地・長浜地区でも「うわさに聞く程度」(同地区在住30代女性)だったという。
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■島行き切符は「プレミアム」
ブームの陰で頭を抱えたのが連絡船だ。連日、港へ押しかける観光客を島へ運ぼうにも、この航路に就航している船「あおしま」の定員は34人。ブーム絶頂期には、乗船券が一種のプレミアムチケット化していたこともある。
現在も日によって「積み残し」の可能性は解消されていないし、海が荒れると欠航もしばしばだ。
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■島民の反応は?
なお島民は、おおむねブームを歓迎しなかったようだ。なぜなら島民にとって、この島は今も昔も「自分たちの家」そのもの。島の歴史が江戸時代の初期、播州坂越浦(現在の兵庫県赤穂市)から一族郎党16戸が移住してきたことに始まる(国土交通省資料より)と聞けば、深くうなずける話だ。
ましてや島内には観光客向けの施設や設備はおろか、商店や自動販売機すらない。どれだけ観光客が押し寄せても1円にもならない上に、それこそ「ネコの額」のような島内で生活テリトリーを侵されるばかりとあっては、観光客との間ですれ違いが生じるのも致し方ないことだったといえる。
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■訪問ルールを明文化
とはいえ島を「興味本位で訪れるべきではない」と言い切ってしまうのは難しい。そもそも興味がなければ訪れようとは考えない場所でもある。
興味本位で訪れるからには、第一に島民の「好意」に敬意を払いたい。その上で、島民やネコとの間に適度な距離感を保つ気配りが欠かせないところだ。訪問ルール「青島での約束」も関係者の努力で明文化されている。
・エサやりは決まった場所で
・ゴミは各自で持ち帰る
・島民の暮らしを妨げない
・連絡船待合所にネコを招き入れない
・水の無駄遣いをしない
待合所は、観光客が島内でネコを避けられる唯一の場所。たとえば食事を取ろうにも屋外では一斉に襲撃(?)を受けてしまうだけに、安全地帯を確保する目的で彼らの出入りを禁じている。
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■訪問するなら…
青島には、長浜港から連絡船の午前便で渡ると7時間40分間、午後便なら1時間10分間、それぞれ滞在が可能。連絡船は予約を受け付けず、島内に宿泊施設はない。
前述のように島内では何も買えないので食料や飲料水の用意が必須。雨がっぱも上下で持参した方がよい。天候が急変しても雨露をしのぐ場所は、狭い待合所にほぼ限られる。敷物や折りたたみの小さな椅子があってもいいだろう。
ネコ向けには、少量のエサと「ねこじゃらし」的な遊び道具があると、彼らとの間に親密な関係を築きやすくなる。
(文/しらべぇ編集部・前田昌宏)