【子育てクイズ】約束を破ったからゲーム機を破壊はありか?
■やりすぎ? 当然?
テレビでもよく見かける音楽家の女性が、子どものゲーム機をへし折って破壊したというエピソードが新聞に掲載され、炎上気味になっています。
新聞記事によれば、ゲーム破壊におよんだのは、ゲームを使ううえでの「約束」があったのだが、それを破っていたからだということです。
これに対して「破壊するというのはさすがにやりすぎでは?」という声が上がりました。一方で「約束を破って罰を受けるのは当然」と擁護する声もあります。
どう感じるかは人それぞれの「しつけ観」によるところが大きいでしょう。
ただ、子どもに関わる大人として知っておいたほうがいいことをここでは3つだけ紹介しておきたいと思います。
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■子どもは親の言うようにはしないで、親のしたようにする
1つめ。
心理学にモデリング理論というのがあります。「子どもは親が言ったようにはしないで、親のしたようにする」などと言われます。
つまり、悪いことをして殴られた子どもは、悪いことを悪いことと認識するよりも、悪いことをした人のことは殴ってもいいのだということを学ぶということです。
この理論を当てはめるなら、ゲームをへし折られた子どもは、約束を守ることよりも、約束を守れない人のゲームはへし折ってもいいのだということをまず学ぶわけです。
これを拡大解釈すると、約束を破ったやつには暴力で応じてもいいのだという理屈にもつながりかねません。戦争ってそうやって始まるのだと思います。
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■「約束」が不平等条約であることも多い
2つめ。
約束を破ったのだからどんなに叱られても仕方がないという理屈は一見正論です。
しかし大人と子どもの間で交わされる「約束」は不平等条約であることも多いのではないでしょうか。一方的に押しつけられたルールを守ることを約束されられたというケースということです。
そしてそれが破られたとき、親はそれを厳しく叱る正当性を得ることができます。
過激に子どもを折檻するケースでも、子どもを叱るに十分な理由を見つけてからその正論を振りかざしている場合が多いのではないかと、私は教育虐待について書いた拙著『追いつめる親』の取材を通して感じました。
「理性の皮を被った感情」によって親が子どもを痛めつけてしまうことがあるのです。教育に限らず、スポーツや音楽の訓練においても同様のことが行われていると考えられます。
子どもが約束を破ってしまったときには、いきなり罰を与えるのではなく、なぜ破ってしまったのか、どうしたら次から破らなくなるのかを考える機会にしたほうがいいと思います。
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■子どもはどんな機会からも学ぶ
3つめ。
親も未熟であるということ。
モデリング理論を知っていたって、約束を一方的に押しつけるのは卑怯であることを知っていたって、親だって感情的になってしまうことがあります。
ゲーム機をへし折られた子どもは、「人間は感情が高ぶると何をするかわからない生き物なんだ」ということを学ぶわけです。それはそれで大事な学びです。
ゲーム機をへし折られるという経験からも子どもは学ぶことができます。1回や2回そんなことがあったからといってつぶれてしまったりはしません。
ただしそんなことが毎日のように行われるのだとしたら確実に人格が破壊されます。そのひずみはいつかどこかで爆発します。
<関連書籍>
(おおたとしまさ著、毎日新聞出版、税別1000円)
※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」のコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日10:30am。記事更新の約10分前から、おおたとしまさがこのラジオで記事と同様の話をおしゃべりします。
(文/おおたとしまさ)