【実録】ジャーナリストが語る『テロを撮るカメラ』に必要な特徴3つ
2016年1月14日、インドネシアの首都ジャカルタでイスラム過激派によるテロが発生した。同時に二か所で爆発が発生し、30人以上が死傷。
インドネシア中が、深い悲しみと怒りに震えることになった。
上記は実際のテロ現場を写した写真だが、どんなカメラで撮影していると思われるだろうか?
戦場カメラマンの某氏のように、さぞ立派なものを使用していると思う人もいるかもしれないが、じつは初心者の入門用でも十分対応できる。
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■レンズセットで3万円代~
今回、記者が使用したのはPENTAXブランドの『K-S1』というデジタル一眼レフカメラだ。
レンズセットでも3万円台という低価格で買える入門機だが、大手メディアの社員が持っているような上位機種にも負けない素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。
■入門機でも戦えるワケとは?
『K-S1』が報道現場で役立つ理由は、以下の3つがある。
①敏捷性に優れている
そもそもの前提として、報道写真は「即座にデスクへ送信できる写真」、つまり撮って出しのものでなければいけない。だからこそロイター通信は、カメラマンに対して「RAWではなくJPEGで画像を送るように」と通達した。報道写真に芸術性は求められていないのだ。
だからこそ、現場では『K-S1』の持ち味が光る。センサーサイズはAPS-Cで、報道写真には充分な画質はこれで確保される。操作機構もシンプルそのもの。急な撮影シーンでも慌てることはなかった。
②夜景にも強い
ISO感度が51200まであるというのも、大きなアドバンテージだ。夜間の風景写真も、『K-S1』ならしっかり撮影してくれる。
③「逃げながら撮影」という難題を克服する軽量さ
こうした危険な現場では「立派な体格のカメラ」は、かえって足手まといになる。
どこにテロリストがいるか分からない状況で、しかも各所に爆弾が仕掛けられている。現場のカメラマンは「ベストショットを撮りながら逃げる」という、矛盾したことをやらなければいけないのだ。それにはまず足が軽くなければいけない。
カメラのボディがコンパクトであることは、カメラマンの生命を守ることにつながるのだ。
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■ホコリに弱い?
ところが、この『K-S1』にも弱点がある。PENTAXは防水防塵機能に力を入れているブランドとして有名だが、入門機種の『K-S1』ではそれが省略されている。そのため極端な悪天候、不衛生な環境下での使用には注意が必要なのだ。
実際、取材の最中にホコリがセンサーに付着し、その場で清掃を余儀なくされたということがあった。また、PENTAXのレンズのカバーは非常に外れやすい。こうしたことも、今後改善していかなければならない点だろう。
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)