『真田丸』はコミカルすぎ?史実に沿わない大河ドラマを検証
三谷幸喜脚本、堺雅人主演のNHK大河ドラマ『真田丸』。真田幸村(信繁)という人気の高い武将の一生を描くドラマだけに、視聴率も初回から好調。前回の『花燃ゆ』が低調に終わっただけに関係者は安堵しているだろう。
しかしユーモアをまじえた内容については賛否両論で、「コミカルすぎる」、「チャラチャラしている」などの批判や、「本能寺の変のあとに満月から数日後の月を出すのはおかしい」などと細かいツッコミも多いとのこと。
ちなみに三谷幸喜は10年前の『新撰組』でもコミカルな脚本が物議をかもした。大河ドラマなど歴史を扱うドラマについてはつねに「史実と違う」と指摘があり、制作側は苦労しているようだ。
■大河ドラマは史実に沿うべきだと思う?
そこでしらべぇ編集部がアンケートサイト「マインドソナー」で「大河ドラマは史実に沿うべきか」聞いてみた。
結果、36%が「沿うべきだ」と回答。意外に史実と沿わない場合でも受け入れている人が多いことが判明。制作側としては、少々安堵できる数字かもしれない。
やはり内容がしっかりしていれば、多少脚色があったとしても納得できるようだ。『真田丸』についても、「コミカルな演出が面白い」という声もある。
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■史実にはないと思われるシーンは?
過去の高視聴率大河ドラマにも、史実に沿っているか歌わしいシーンが存在する。いくつかあげてみよう。
①独眼竜政宗 1987年
小田原攻めに遅参した正宗を勝新太郎演じる秀吉が一喝するシーン。秀吉が正宗の首を杖で一叩きした後、あえて正宗に刀を渡し立ち小便をする。
政宗が遅参したのは事実だが、杖や立ち小便は史実にはない可能性が高い。しかし、この場面は勝の存在感が凄まじく、大河ドラマ史に残る名場面と言われる。
②徳川家康 1983年
三方ヶ原の戦いで敗北した徳川家康が命からがら浜松城に逃げ帰り、恐怖のあまり場上で脱糞し家臣に馬鹿にされるシーン。「くさやくさや」とバカにされた家康が、「これは腰につけた焼き味噌じゃい!」と一喝する。
脱糞については事実であるとする説と、創作であるとの説があり詳しいことはわかってない。家康が「腰につけた焼き味噌」と言いわけし怒ったことも事実であるかは疑わしい。
③江~姫たちの戦国 2011年
「9歳の江が伊賀越えをする」「清洲会議の現場でなぜか江が盗み聞きしている」「江が遠く離れた場所を頻繁に行ったり来たりする」など、かなり史実とかけ離れていた。
視聴者から抗議が殺到したが、NHKは「これはあくまでもフィクションで、ファンタジーである」と説明。物議をかもした。
この他にも大河ドラマには史実に沿っていない創作の部分が多く、『独眼竜政宗』のようにそれが名シーンとして語りつがれることもある。
しかし、『江』のようにあまりにもかけ離れすぎていると、批判の対象になり視聴率が伸び悩む。現在のところ視聴率好調の『真田丸』だけに、創作を適度にとどめておけば視聴率も安定するだろうか。
(取材・文/しらべえ編集部・佐藤 俊治)