【思考実験】1人を見捨てたら5人が助かる…その時あなたは
一つ深呼吸してから次を読んでいただきたい。
「あなたは救助隊員。海に投げ出された人を助けに行こうとしています。今、投げ出された5人を救いに行こうとしたその時、さらにもう1人おぼれている人を見つけました。一刻の猶予もない状態で、その1人を助けたら、5人が助からないかもしれません。ボートには、あなたを含め6人しか乗ることができません。」
さて、あなたはこの時どうするだろうか。この問いに対する、13.964人の選択を見てみよう。
「後から見つけた1人」を優先する割合
4位 後で見つけた1人を助け、5人を見捨てる 506票 3%
3位 後で見つけた1人を助け、5人のうちの4人を助ける 1,983票 14%
「後で見つけた1人」を優先する人は17%にのぼった。ただ、助ける人の内容はかなり異なる。
3%の人が選んだ「後で見つけた1人を助け、5人を見捨てる」の場合、ボートが6人定員にもかかわらず、自分と救助者の合計2名しか乗らないことになる。5人の中からだれを助けるかなんて選べない! という倫理的な思いが優位となったのだろう。
対照的なのが、14%の人が支持した「後で見つけた1人を助け、5人のうちの4人を助ける」だ。選んだ人からは「5人のうちに子供や病人がいれば、優先度をつけられると思う」という声が聞けた。しかし、子供も病人もいなかった場合、現場でフリーズしてしまいそうだ。
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「全員見捨てる」という判断も
2位 選ぶことができないのでみんな助けない 2,422票 17%
1位 後で見つけた1人を見捨て、5人を助ける 9,053票 64%
自分は救助隊員だが誰も助けない、という選択をした人が2番目に多かった。ジレンマに陥るあまり、選択を停止したといえるかもしれない。なお、現役の消防士にコメントを求めたところ
「職務上これだけはありえません。全員助ける方法を最後まであきらめない、という選択肢はないんですね…」
とのことだった。
そして1位はやはり、最初から救助が決まっていた5人を優先するという選択。
「だって、5人を助けるのが任務で出動しているでしょ?人数も最大だし」
など、使命や救助者数で合理的と判断した意見が拾えた。
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多数のために1人の命を犠牲にする「トロッコ問題」
今回の話は有名な「トロッコ問題」と言われる倫理学の思考実験をベースにした話。「止まれないトロッコの線路上に5人がいて、ポイントを切り替えれば5人は助かる。しかし、その切り替えた先にいる1人がひかれてしまう。」というものだ。
多くの人が「多数のために1人の死には目をつぶる」と分かるが、それならばこの質問はどうだろう。
「健康な1人を殺して臓器移植すれば、病気で死を待つ5人を助けられます。あなたならどうしますか?」
これらは理性や道徳のジレンマ、矛盾を引き起こす論題としてたびたび扱われている。
【集計結果】
出 典:dメニュー・iメニュー 「みんなの声」
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総投票数: 13.964票
(文/しらべぇ編集部・伊東宏之)