税から逃げるIT企業、怒れる国家 あの会社も脱税を!?

2016/03/10 11:30


©iStock.com/maislam
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もし明日、突然Facebookにアクセスできなくなったら?

Googleのサービスが一切利用できなくなったら?

Twitterへの投稿がブロックされたら?


我が国日本は民主主義国家である。民主主義の最低条件は、「誰しもが意見を送受信することができる」いうことだ。政治家の都合でネットの自由を阻害するようなことは、決してあってはならない。

ところが今、言論の自由も結社の自由も認められている民主主義国家の中で、Googleなどが配信するサービスをブロックしてしまおうと動いている国がある。それはインドネシアだ。



■市民は「Google規制」に賛成!?

インドネシアは、2億5,000万の人口を誇るASEAN最大規模の国家である。そして、国家元首である大統領は、国民の直接投票で決められる。かつてのスハルト独裁体制を乗り越えた今、インドネシアでは民主主義が成熟しつつあるのだ。

だが、そんなインドネシアのルディアンタラ情報通信大臣が、インターネットの規制に言及したのだ。その中で、GoogleやFacebookといった世界的ITサービスを政府がブロックする可能性があるということを明かした。

インドネシアでも、これらのサービスは隅々まで普及している。とくにFacebookなどは、小学生が日常的に利用しているということも珍しくない。市民のスマートフォンも今やAndroidがトップシェアを維持しているから、市民生活はGoogleと共にあると言ってもいいだろう。

にもかかわらず、それらのサービスをブロックすると言及した政府に賛成する市民が多い。それはなぜか?


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■各国を悩ます租税回避

インドネシアに限らず、大手IT企業の脱税問題は世界各国で取り沙汰されている。

一般に、企業は法人税というものを国家に納める義務を有している。だがその税は、基本的に法人所在地の国で発生する。そしてその国の税が他国より安かった場合、企業はそれだけ利益を上げることができる。

しかもIT分野のビジネスは、インターネットができる環境さえあれば世界のどこからでも業務をすることができる。進出先の国にオフィスを置く必要もない。

これは国家の側から見れば、自国市民が企業に莫大な金を投じているにもかかわらず、それに見合う税をまったく回収できないということ。


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■自由と規制

インドネシア政府の怒りは、頂点に達している。マスコミはルディアンタラ氏の発言を「企業に対する警告」と書いたが、情報通信省はその表現を否定しなかった。

だが同時に、政府はeコマース分野への投資規制を緩和すると発表した。一定額以上の投資をした外国企業に対し、現地法人株の100%保有を認めたのだ。

これは逆に言えば、ビジネスの自由度を保証する代わりに納税をせよという最後通知である。

今のところ、こうしたインドネシア政府の意向に各企業は従う姿勢を見せている。だが約束を反故した場合は、容赦ない「制裁」があるということをルディアンタラ氏は付け加えた。

こうした騒動は、我が国にとっても無関係ではない。日進月歩の勢いで進化するIT業界だが、そこから税を課すための法律はあまり進化していないのが現実である。

(文/しらべぇ編集部・澤田真一

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