世界では「包茎手術」が当たり前! 一神教と「割礼」の文化とは?
欧米の男性は、大抵剥けている。
先日、子育て情報誌『ひよこクラブ』で幼児の包茎改善についての記事が掲載され、それが論争を巻き起こした。だがこうしたことが議論になるのは、じつは日本だけかもしれない。
日本という国は、携帯電話だけでなくあらゆる面が「ガラパゴス」、「世界の常識は日本の非常識」という言葉もあるくらいだ。結論から言えば、この話題は「日本の文化史には割礼が定着していない」という証明である。
■生後一週間で手術
包茎手術は、宗教的な言い方では「割礼」と呼ぶ。これはそもそもはユダヤ教の戒律で、唯一絶対の神との契約のために男子は出生から数えて8日後に割礼を受ける。かつてはこれが義務づけられていた。
だからこそ、ユダヤ教から派生したキリスト教やイスラム教も割礼を行なう。救世主イエスも先述のユダヤ教の戒律に倣っている。
以上の理由で、一神教が定着している国には「ひよこクラブ論争」が存在しない。誰しもが包茎手術を済ませているからだ。
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■保守層とリベラル層
もっとも最近では、たとえ一神教の信徒でも「子供が早くからセックスを覚えてしまわないように」という理由で割礼を行わせない家庭も増えている。
とくに性犯罪に対して敏感なアメリカでは、リベラル層を中心にそうした人々が目立ってきている。
だがリベラル層がいるということは、同じ国に保守層もいるということだ。アメリカ南部州に多い福音右派教団の経営する病院では、親が何も言わなければ1週間後には赤ちゃんの包皮がいつの間にかなくなっている。
この地方では、「出産」と「包茎手術」はセットになっているのだ。
■日本のキリスト教徒は?
一方で日本の場合は、たとえクリスチャンでも割礼は一般的ではない。我が国とカトリック教会は、フランシスコ・ザビエルの伝道から450年の歴史を築き上げた。だが、日本のカトリック教会は信者の子に割礼を要求することはない。
もちろん、司祭によっては「やったほうがいい」と言う場合もあるかもしれないが、それ以上の判断は家族に委ねられる。日本カトリック中央協議会で「割礼を奨励すべきか」などということが議題に上がったということもない。
これは我が国ではカトリック信者同士の結婚が多くないということと、やはり日本の文化に割礼はそぐわないという現実的な事情があるという。なお、プロテスタント諸派もそうした事情は同じだ。
このように「ひよこクラブ論争」は、我々日本人の文化と宗教観を計らずも反映しているのである。
(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)