ノマドは理想の働き方か?意外に厳しい「彼らの仕事」
東京23区内のカフェチェーン店に行くと、必ず「ノマドワーカー」と呼ばれる人たちを見かける。平日の昼間にもかかわらず、彼らは会社に出勤する様子もない。
だからこそ、ノマド(遊牧民)なのだ。特定のオフィスに出向かず自宅やカフェでパソコンを叩くその働き方は、「新時代の仕事」と注目される一方で議論も生み出している。
果たして近い将来、ノマドのような働き方は主流となっていくのだろうか?
■ノマドは「憧れ」か?
そこでしらべぇでは、会社員経験のある全国20〜60代の男女864名に対して「ノマドの働き方に憧れているか?」という調査を実施。
「はい」と答えたのは、全体の12.0%。決して多くはない数字である。
やはり、ノマド的な働き方というのは社会的な信用をまだ獲得していないのか。あるいは工業立国である我が国日本の産業構造から、「働き手の大多数をノマドワーカーにするわけにはいかない」という意識も働いているのかもしれない。
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■「自由」ではないノマドの仕事
そしてノマドだからといって、宮仕えよりも自由時間が作れるというわけでもないようだ。
ノマドというのは、インターネットの普及が達成されたからこそ可能になった働き方だ。だからこそ「オフィスは不要」という発想ができたわけだが、その分仕事の依頼者に対しての素早いレスポンスが要求される。
そのため、メッセンジャーアプリで交わされる業務連絡は卓球のラリーのごとく敏速でなければならない。「働く場所を選ばない」ということは、「今いる場所の状況が業務遅延の言い訳にはならない」という意味なのだ。
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■社会常識の厳守
また、ノマドワーカーにとっての最大のスキルは「信頼」である。たとえその人が地球の裏側にいようと、依頼したすべて仕事を期限までにこなしてくれている。そういう安心感が当事者全員にあるからこそ、業務が遂行できる。
至って基本的な社会常識を述べているようだが、ノマドワーカーにはそれがより一層求められると考えて間違いはない。何しろオフィスに出勤しているわけではないのだから、仕事を投げ出すことや不正を行なうことも簡単にできる。
それを防止するためにも、個々の働きぶりが担保する「信頼」は絶対不可欠だ。ノマドは決して「楽な働き方」ではないのである。
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年3月18日~2016年3月22日
対象:全国20代~60代の会社員経験者男女864名