朝霞市少女誘拐事件のモデル?オーストリアの少女監禁事件
埼玉県朝霞市の少女誘拐事件で逮捕された寺内華風容疑者(23)の犯行の手口が明らかになっている。
その中でも興味深いのが、寺内容疑者の計画性だ。わずか23歳の男性が行ったとは思えない用意周到さ。いくら優秀な学生であったとしても、なんの資料もなくはじめての誘拐事件を成功させられるだろうか。
もしかすると、この事件を成功させるための手立てとして、過去の事件を参考にしていたのかもしれない。
■オーストリア少女監禁事件とは?
事件が発生したのは1998年。オストリア・ウィーンに住む少女ナターシャ・カンプシュ(当時10才)が登校中に何者かに拉致された。
犯人はウィーンで通信技術関係のエンジニアをしていたウォルフガング・プリクロピル(当時26歳)。誘拐後、ウォルフガングは自宅ガレージの地下室に少女を監禁した。
時が経つにつれ、次第に地下室から出されて家事を手伝わされるようになる。その間も、ウォルフガングの後方1メートルを歩くよう指示され続け、時には暴力も振るわれた。
しかし、ナターシャが18歳になった2006年8月23日、ついにチャンスが訪れる。その日、彼女は庭で車を清掃していた。隣にはウォルフガングがいたが、ふたりの関係性は家の外に出るまで変化していた。
清掃の最中、ウォルフガングの元に電話がかかってくる。そして、彼は車の清掃音が大きかったため「静かな場所に行く」と言ってその場を離れたのである。
この一瞬のチャンスをナターシャは見逃さなかった。一気に走り出し、そのままフェンスを越え、隣の家に駆けこんで行ったのである。
関連記事:女子に聞いた「男子の部屋にあると嬉しいもの」ランキング!1位は衣類消臭剤
■寺内容疑者・ウィルフガングの類似点
さて、オーストリアで起きたこの行方不明事件には朝霞市少女行方不明事件と以下のような共通点がある。
関連記事:風邪ひきやすい人は意識してる?春の冷えにも「温朝食」
①少女の精神的支配
ナターシャを監禁したウォルフガングは、少女を精神的に支配するため、常に「お前の親は身代金を払うのを断った」「お前はもう要らない子だ」といった発言を繰り返し行っていたことが警察の捜査によって判明した。
そして驚くべきことに、寺内容疑者も同じ手口を用いている。また、寺内容疑者の場合はさらに徹底した精神的支配を行うため、本人にノートに「私はいらない子」といった言葉を何度も書かせていた。
関連記事:JC監禁容疑者父の防犯グッズ店が休止「日本一信頼できるのに残念」の声
②拘束を緩め、家事を手伝わせる
ウォルフガングに監禁されたナターシャは、はじめは堅牢な地下室に閉じ込められていた。しかし、それから6ヵ月程経つと、地下室から出して家事などを手伝わせるようになっている。
また、さらに年数が経つと、今度はウォルフガングが付き添いながらも外出を許可されていた。
この様子も寺内容疑者に非常によく似ている。監禁されていた少女の証言によれば、家事はおろか、ネット通販を利用した食材の買い出しも任されていたという。また、時には自宅を出て近所のスーパーに買い物に行かされていたと言われる。
関連記事:寺内樺風容疑者がGoogleマップに 父親の会社を検索すると…
③警察に捕まった後の行動
ナターシャが脱走した後、ウォルフガングは警察に逮捕されることなく自ら列車に飛び込み命を絶っている。そして、日本のウォルフガングとも言うべき寺内容疑者も自ら命を絶とうとしていたが、こちらは失敗している。
■寺内容疑者はオーストリアの事件を参考にしていたのか?
現在も続く取り調べの中、寺内容疑者の計画的な犯行の詳細が明らかになっている。その中で、計画のためにさまざまな資料を用いていた様子も見られることから、オーストリアの事件を参考にした可能性も十分に考えられるだろう。
この事件は映画化もされているため、誰でも知ることができる。とくに、少女を心理的に支配する手法などは、ウォルフガンフの手法を真似たと思わせる部分が多い。
となれば、寺内容疑者はウォウルフガングのコピーキャット(模倣犯)であったのか? 事件の謎は深まるばかりだ。
(取材・文/しらべぇ編集部・サナダテツヤ)