核家族化が進む日本が「インドネシア流の子育て」から学べるものとは
日本の「核家族化」は年々進行していると言われている。昔よりも子供を多く作ることに価値を見出さなくなったことや、より人手を要しない産業構造への変化という要因もあるが、一番の要因はやはり「価値観の変革」だろう。
家族やコミュニティーの在り方、地域社会とのつながり方といったものに関する意識が、昔と今とではやはり違うのだ。当事者の周囲にどのような環境があるか、彼らが子育てをするに適した状況が備わっているか否かが、日本の出生率にも影響している。
■「自分も両親も一人っ子」の割合
このままでは、親戚がまったくいないという境遇の人が多数派になってしまうのではないか?
そういう懸念の声も聞かれるが、では実際に親しい親戚が一切存在しないという人はどれだけいるのだろう。すなわち、自分自身はおろか両親ともに一人っ子で、おじやおば、いとこがまったくいないという人だ。
全国の20〜60代男女1352名へ調査を行なった結果、全体の4.3%が「近しい親戚がいない」と答えた。
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■多子低齢の国
このように3親等、4親等の親戚が皆無という例はごく少数ではあるが、それでも「自分は一人っ子」という人は決して少なくはないだろう。今や家に子供が3人もいれば「賑やかな家族」と言われるほど、少子化が進んでいる。
では逆に、多子低齢の国というのは存在するのだろうか? そのような国が、日本の近くにある。インドネシアだ。
約2億5,000万人の国民は、その平均年齢が30歳に届いていない。この国では一人っ子の家庭は非常に珍しく、大抵の世帯には3人以上の子供がいる。そのため、政府が「1世帯2人まで」という家族計画を推奨しているほどだ。
そんなインドネシアでは、「子育てはコミュニティーで行なうもの」という概念が根付いている。
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■友達みんなで子育て
インドネシア市民は、友達同士の絆が非常に強い。休日のショッピングも旅行も、友達と一緒に集団で出かけるのが普通だ。
だから、子育てもママ友同士で分担する。インドネシアでも主婦が仕事を持つことは当たり前になってきているが、母親が仕事に行っている間の乳児の世話はママ友が行なう。
日本のような「ママカースト」「公園序列」などというものは一切存在せず、「どうして他人の子のオムツ替えを?」などという疑問を持つ者はいないと言ってもいい。富裕層の場合はベビーシッターを雇うが、中間層以下の庶民はこうした「持ちつ持たれつ」のやり方で子育てする。
また、インドネシア人は、子供と老人を常に優遇する。そうしたことがむしろ問題になってしまっている面も多分にあるが、それでも日本で度々発生しているような育児放棄は貧困層の家庭でもほとんど起こり得ない。
日本とインドネシアとでは習慣も国民性もまったく違うが、それでも我が国の少子化問題解決に向けたヒントを見出すことはできる。むしろ環境がまったく異なる国だからこそ、日本人が気づかなかった重大なポイントを発見できるのではないだろうか。
(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年3月18日~2016年3月22日
対象:全国20代~60代の男女1352名
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