夢の「印税生活」の実態は?物書き志願者が陥りやすい罠も…

2016/04/12 05:30

4maksym/iStock/Thinkstock
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「印税生活」という言葉は、独特の魅力にあふれている。

もし自分が本を出版し、その印税で生活ができるようになれば、それは「出勤しなくてもいい」ということだ。また、安定した印税収入が得られるようになれば老後の不安もなくなる。

日本人は、もはや公的年金に信頼を置いていない。まさか国からもらえる手当だけで老後の生活を営めるとは、誰も考えてはいないだろう。



 

■印税生活をしてみたいか?

では、実際に印税で老後の生活を送りたいと考えている人はどれだけいるのだろうか?

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全国の男女1352名に調査したところ、およそ8人に1人が「はい」と考えていることが分かった。


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■物書きは「個人事業主」

文筆業というのは、言い換えれば個人事業主である。被雇用者とは違い、自分自身の顔と名前をブランドにしなければならない。

若い頃から印税生活に憧れ、いざ老後を迎えて自分の本を書こうという段階になると、今度は「何を書けばいいのか」という問題に突き当たる。じつはこれが、物書き志願者の大半を苦しめる課題なのだ。

出版社の編集部員を唸らせ、なおかつそれを本にした時に金を出してまで欲しいという人が何人現れるのか。そしてそのような効果をもたらすほどの面白い題材は何か。こうしたことを、パソコンに向かう前に熟考しなければならない。


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■公募賞選考から見る「ダメな作品」

出版社が企画する小説作品の公募賞でも、同様の問題が見えてくる。

公募賞というのは集まった作品すべてを審査委員に読ませるのではなく、まずは編集部員かアルバイト要員が作品を審査して数を絞る。これは一般的に「一次選考」と呼ばれるが、ここで落とされる作品には著しい特徴があるという。

まずは、内容が他のそれと似通っているということ。これは盗作という意味ではなく、他の作家に書く尽くされた世界観から一歩も出ていないという意味だ。

たとえば、「ドラゴンの背に乗った騎士が魔法を駆使して世界を救うために戦う」という内容の作品はまず一次選考で落とされるという。

あるいは「選抜された集団が死のゲームを強要される」、「超能力を操るオッドアイのキャラクターが出てくる」といった作品の応募も、非常に多いらしい。そしてその度に、アルバイト要員の手で落とされる。


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■政治的主張は禁物

また、「自分の政治的主張を繰り返す作品」も多いという。「何を書けばいいのか」という問題を解決するのに一番手っ取り早いのは、自分自身の考えを書くことだ。だがそれは、読者の視点をまったく無視した行為である。

よほどの著名人は例外としても、そうではない人物の主義主張を読むために金を出す読者は果たして何人いるのだろうか。自分が読者の立場になれば、簡単に分かることだ。

ところが、現実にはそうした政治演説のような作品が公募賞の窓口に、また公募賞の受付期間外にも持ち込みという形で出版社に送られることがあるそうだ。

魅力的な響きに満ちた「印税生活」という言葉だが、それを実現させるための道は決して単純ではないということを知っておくべきだろう。

(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一
調qzoo査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo
調査期間:2016年3月18日~2016年3月22日
 
対象:全国20代~60代の男女1352名

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