介護福祉士が語る「10年後の超高齢化社会」で懸念される3つの問題

2016/04/20 20:00

超高齢化社会
©ぱくたそ

高齢化が進む日本だが、10年後の2025年には「超高齢化社会」が訪れる。

1947〜1949年生まれのベビーブームに生まれたいわゆる団塊の世代は2015年に高齢者(65歳以上)となったが、さらにその10年後の2025年には、高齢者人口が約3500万人(人口比約30%)に達するとの予測されている。日本人のおよそ3人に1人が高齢者になるのだ。

10年後の近未来におとずれる「超高齢化社会」で懸念される問題を知っておくのは重要なこと。しらべぇ取材班は、複数の現役介護福祉士に話を聞いてみた。



 

 ①社会保障費と介護負担

我々が払う年金は、国で貯金をしていたり、年金をもらえる年齢になった時にそこから引き落としされるわけではなく、今現在必要としている人の年金や医療費などの社会保障費になっている。

では、超高齢化になった場合はどうなってしまうのだろうか。


Q.年金を払う人は少なくなり、保障を受ける人が増えるということ?

「3分の1の高齢者の社会保障費を、あとの3分の2の人たちでまかなわなければなりません。生産年齢の20歳以上でいったら、約2人で高齢者1人を支えていかなければいけないとも言われています。


さらに、これはどの介護福祉士に聞いても同じ答えが返ってきますが、圧倒的に介護福祉士が足りていません


なぜなら、肉体的にも精神的にも大変な仕事なのにも関わらず、賃金が安いからです。これは今現在でも問題視されていることですが、このまま何も対策をせずにいけば、10年後にはさらに深刻になってしまうでしょうね」(30代女性)


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②介護と子育てを同時に行う「ダブルケア」

Q.たとえば自宅でも親の介護をしなければならない人も増えていく?

「実質増えていくことになりますね。しかし、自分で親の介護をする場合にも問題点が浮き彫りになってきています。近年は高齢化に加えて、晩婚化や高齢出産傾向にあります。


そのため、今までは子育てが終わった後に介護という流れだったのが、子育てをしながら介護もする人が増えていきます。例を出して考えてみると…


《現在》 親65歳 子30歳
《10年後》親75歳 子40歳(子が40歳で高齢出産と仮定すると…)


日本の平均寿命(男性80歳、女性86歳)で考えると、親はこのあと5年以上は生き、さらに子が2人目、3人目と産んだと想定すると…もう想像がつくかと思いますが、子育てをしながら介護もしなくてはならなくなりますよね。


これはあくまで一例に過ぎませんし、もちろん人それぞれ親との年齢の差や出産する年齢などでも変わってくるのですが、『高齢化社会』『高齢出産』という要因を現在の日本の状況で鑑みると、このような状況の人が10年後には増えるということになります」(30代女性)


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③特養待ち

Q.介護する人も減るはずだが、老人ホームは足りている?

「先日『保育園落ちた日本死ね!』という、ある子供を持つお母さんのブログが話題になって、国会でも取り上げられるほど話題になりましたよね。じつは『特養落ちた日本死ね!』という声も上がるほど、特別養護老人ホームの待機者問題が深刻なんです。


特別養護老人ホームは、社会福祉法人や地方公共団体が運営している公的な施設なので、低料金で入れるのですが、そのぶん待機者数が増えています。


入所の条件としては要介護1以上とされていたのですが、要介護3以上に引きあげられていたり、長期入院が必要な病気や、伝染病にかかっている場合は入所不可としている施設も多くあるそうで…。


実際、本当に入らなければならない人は入りやすいとも言われているそうなんですけど、全国の待機者は40万人とも50万人とも言われており、個々の施設だけで見ても、100人待ちなどざらなようです」(50代女性)


必ずおとずれる超高齢化社会を前に懸念されることは、他にも山のようにあるだろう。来る2025年を前に、私たちができることはなにか。自分に状況を置き換えて、しっかりと考えておく必要があるだろう。

(取材・文/しらべぇ編集部・山吹彩野

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