毒は大丈夫なの?ジャカルタの路上でコブラの串焼きに挑戦

グルメ

2016/04/30 10:00

鉄製のカゴに入れられた、うにょうにょと蠢く大量のヘビ。
この屋台では、最強の毒を持つと言われるコブラを串焼き肉として使われているというから驚きだ。

コブラ

東南アジアの中でも印象が薄い国であろう、インドネシア。

印象は薄くとも人口は多く、およそ2億4千万人で世界第4位を誇っている。その約90%がムスリムで占められているだけに、当然ながら豚肉を食べる習慣はなく、肉といえば主にアヤム(鶏肉)だ。

首都ジャカルタのコタ地区にあるマンガ・ベサール通りは、夜になると両側にびっしりと屋台がひしめき合う。

コブラ

鶏スープの「ソトアヤム」、鶏肉の串焼き「サテアヤム」といったインドネシア料理が並び、私のような観光者だけではなく地元民の胃袋をも満たしているエリアでもある。

旨そうな薫りが立ちこめるマンガ・ベサール通りで、一店舗だけ異質な食材を提供する屋台に遭遇した。

この店こそ、コブラを食肉として串焼きで食わせるステキな屋台である。そのまま通り過ぎてしまおうかと思ったが、本能とは裏腹に好奇心が発動。足を止めてしまっただけではなく、視線もカゴの中の蠢くコブラに釘付けになってしまった。

コブラ
さらに驚いたのは、この屋台で働くお兄ちゃんの“コブラ捌き”のテクニック。無表情のまま包丁を握った彼は、コブラの頭をスパンと飛ばし、するすると皮を剥き、しゃしゃっと捌いてハイ終了。

瞬く間に串焼きの具材に変身させてしまったのだ。

コブラ

横にいた子どもも捌かれるコブラを意に介することもなく、スマホゲームに夢中になっているあたりも驚愕である。

捌かれたコブラ肉は串に刺され、炭火でじっくりと炙られていく。ここだけを見れば実に旨そうなんだが、さきほど“マズい”ところを見てしまっている身としては複雑な心境だと告白したい。

——毒は大丈夫なのか?
捌いているときに、毒を抜いている様子などまったく見られなかった。焼けば消えてなくなってしまうのか…。
私の心配をよそに、カウンターに座る客は旨そうに何本も平らげていく。しばらく観察していると、1人の客は串のすべてを完食し、満足げな表情で去っていった。

コブラ

本当は旨いし、滋養強壮にもいいんじゃなかろうか。
『コブラを食って、下半身もコブラ』
くだらないキャッチコピーが頭をよぎった。くだらないけれど、ほんとにコブラになるのならありがたい。

コブラになった下半身をどのように始末するのかは後で検討するとして、物は試しで一人前を食べてみることにした。カウンターに座るまで気付かなかったが、テーブルの上には蛇皮製品が売られている。
商魂逞しい。皮財布を眺めていると、コブラの串焼きが目の前に現れた。

コブラ

串焼きの上には揚げニンニクが乗っていて、皿には微塵切りの玉ねぎと唐辛子が添えられている。

コブラ

あのおどろおどろしい印象は跡形も無くなっていて、串に刺され炭焼きにされたコブラ君は“旨そう”という好感度に変わっているから本人も嬉しいのではないだろうか。

さてそのお味は…。肉は野性味を感じさせる弾力があり、新鮮だからか臭みやクセもなく、どんどん食える。旨い! 瞬く間に食べ尽くしてしまった。

それにしても、なぜコブラの屋台をやろうと思ったのか。インドネシア人の店員にインタビューしたかったのだが、屋台を営むお2人とも英語が話せないので詳しい話しは聞けなかった。

ただ写真だけはパシャリ。

コブラ

カメラを向けても一切笑顔を見せることなく無表情のお2人は、コブラ譲りの威圧感を継承しているのかもしれない。

コブラ肉の串焼きを食い尽くした。あとは私の下半身がコブラになるのを待つのみである。お会計を済ませ店を後にしようとしたその時。

屋台の横にあったバケツが視界に入った。何やら赤く長いものが見える。覗き込んでじっくり眺めてみたら、捌かれたコブラの残骸だった。

コブラ

これを見て私の下半身はコブラになるどころか、芋虫と化したのは言うまでもない。

(取材・文/しらべぇ海外支部・西尾康晴)