いじめ被害経験者に聞いた「いじめられてよかったこと」5つ
教育現場での大きな課題のひとつ「いじめ」。多感な時期に受けた心の傷は、大人になっても簡単に癒えるものではなく、被害者の胸に長らく残り続ける。
しかし、一方ではいじめられた経験を自分の中で昇華し、「あの経験があったから今がある」「得たものもあった」と感じている、強い人たちもいるらしい。
■いじめられて得たものがある人の割合は?
しらべぇ編集部が全国のいじめ被害経験者617名に調査したところ、「いじめられてよかったことがある」と答えたのは全体の13.3%。7人に1人程度の割合であり、つらい経験を前向きに解釈できる人はそこまで多くないようだ。
男女別では、男性のほうが該当率が高かった。いじめ被害は、時に男性の闘争本能に火をつけるのかもしれない。
■乗り越えた人に聞いた「いじめられて得たもの5つ」
では、彼らは一体なぜ「いじめられてよかった」と答えたのか。つらい経験を通じて、得たものは何だったのだろうか? 以下、主だったものを5つに分類してみた。
①優しくなれる
「いじめられる側の痛みがわかり、いじめることに対して自制が効くようになった」(40代・男性)
「同じ思いをする人の気持ちに立って相談を受けたりできるから」(30代・女性)
もっとも多かったのがこの回答。痛みを知ることで、人を傷つける怖さを知るようだ。
②強くなれる
「精神がたくましくなった。辛いことがあっても『あの時よりはマシ』と思える」(40代・女性)
「負けるもんかと思って鍛えてたら、体格が良くなった」(40代・男性)
苦難を乗り越えた時こそ、人間は成長するもの。いじめを機に、精神面や肉体面で、強く変化する人もいるらしい。
③視野が広がる
「いじめた当事者以外の人間を味方につけることができた。今ではかけがえのない友人」(20代・女性)
「人生の世知辛さを幼くして知ることができたので」(50代・男性)
厳しい現実を知って絶望した先に、新しい気づきがあるということか。
④自分の悪いところに気づくことができる
「ちゃんと仲直りできて、自分の悪いところを教えてもらえたから」(30代・女性)
「結局おとなしいだけでは相手に軽くみられるので、理不尽なことにはちゃんと抵抗するなど、なにかしら行動に出ることが大事だと学んだ」(女性・60代)
いじめは絶対にダメだが、「あの頃、自分にも問題があったな…」と思い、相手を赦すケースも。また、受け身でおとなしい性格を反省する人も見られた。
⑤時に対抗することができるようになる
「相手に反撃をする、と言うことを覚えたから」(20代・男性)
「自分の考えをはっきり言えるようになった。精神的に強くなった」(60代・女性)
「 攻撃は最大の防御」という西洋のことわざがあるが、人間関係においてはそれも当てはまる。加害者に屈することなく抵抗する姿勢は、その後社会で降りかかってくる理不尽さと戦う武器になるはずだ。
以上が経験者に聞いた「いじめられてよかったこと」である。もし、今この記事を呼んでいる人の中にいじめを受けている人がいれば、今後を生きていく上での材料にしてほしい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・岡本拓)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年4月22日~2016年4月25日
対象:全国20代~60代のいじめ被害経験者男女617名(有効回答数)