いじめ被害経験者に聞いた「いじめられてよかったこと」5つ

2016/05/03 07:00

obeyleesin/iStock/Thinkstock
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教育現場での大きな課題のひとつ「いじめ」。多感な時期に受けた心の傷は、大人になっても簡単に癒えるものではなく、被害者の胸に長らく残り続ける。

しかし、一方ではいじめられた経験を自分の中で昇華し、「あの経験があったから今がある」「得たものもあった」と感じている、強い人たちもいるらしい。


■いじめられて得たものがある人の割合は?

しらべぇ編集部が全国のいじめ被害経験者617名に調査したところ、「いじめられてよかったことがある」と答えたのは全体の13.3%。7人に1人程度の割合であり、つらい経験を前向きに解釈できる人はそこまで多くないようだ。

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男女別では、男性のほうが該当率が高かった。いじめ被害は、時に男性の闘争本能に火をつけるのかもしれない。


■乗り越えた人に聞いた「いじめられて得たもの5つ」

では、彼らは一体なぜ「いじめられてよかった」と答えたのか。つらい経験を通じて、得たものは何だったのだろうか? 以下、主だったものを5つに分類してみた。

①優しくなれる

「いじめられる側の痛みがわかり、いじめることに対して自制が効くようになった」(40代・男性)

「同じ思いをする人の気持ちに立って相談を受けたりできるから」(30代・女性)


もっとも多かったのがこの回答。痛みを知ることで、人を傷つける怖さを知るようだ。


②強くなれる

「精神がたくましくなった。辛いことがあっても『あの時よりはマシ』と思える」(40代・女性)

「負けるもんかと思って鍛えてたら、体格が良くなった」(40代・男性)


苦難を乗り越えた時こそ、人間は成長するもの。いじめを機に、精神面や肉体面で、強く変化する人もいるらしい。


③視野が広がる

「いじめた当事者以外の人間を味方につけることができた。今ではかけがえのない友人」(20代・女性)

「人生の世知辛さを幼くして知ることができたので」(50代・男性)


厳しい現実を知って絶望した先に、新しい気づきがあるということか。


④自分の悪いところに気づくことができる

「ちゃんと仲直りできて、自分の悪いところを教えてもらえたから」(30代・女性)

「結局おとなしいだけでは相手に軽くみられるので、理不尽なことにはちゃんと抵抗するなど、なにかしら行動に出ることが大事だと学んだ」(女性・60代)


いじめは絶対にダメだが、「あの頃、自分にも問題があったな…」と思い、相手を赦すケースも。また、受け身でおとなしい性格を反省する人も見られた。


⑤時に対抗することができるようになる

「相手に反撃をする、と言うことを覚えたから」(20代・男性)

「自分の考えをはっきり言えるようになった。精神的に強くなった」(60代・女性)


「 攻撃は最大の防御」という西洋のことわざがあるが、人間関係においてはそれも当てはまる。加害者に屈することなく抵抗する姿勢は、その後社会で降りかかってくる理不尽さと戦う武器になるはずだ。

以上が経験者に聞いた「いじめられてよかったこと」である。もし、今この記事を呼んでいる人の中にいじめを受けている人がいれば、今後を生きていく上での材料にしてほしい。

・あわせて読みたい→失踪経験がある男性に聞いた「沖縄に命を救われた話」

(取材・文/しらべぇ編集部・岡本拓

qzoo【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo
調査期間:2016年4月22日~2016年4月25日 
対象:全国20代~60代のいじめ被害経験者男女617名(有効回答数)

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