「ハラル」が生み出すビジネスチャンス あの商品もイスラム対応に

2016/05/08 21:00

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※画像は森永製菓公式サイトのスクリーンショット

「ハラル」という単語が、ニュースでもたびたび登場するようになった。これはイスラム教において「許されている」という意味の言葉。

世界人口の5分の1を占めるイスラム教徒は、戒律で豚とアルコールの摂取が禁じられている。これは酒麹、豚由来の成分が食品の中に入っていても同じだ。ハラル認定協会やイスラム評議会などがチェックし、認定証を与えるか否かの基準にされている。

我が国の各企業も、今やハラル市場に熱い視線を向けている。


■進むハラル化

先月の終わり頃、森永製菓の『ハイチュウ』がインドネシアでハラル認証を取得したというニュースが舞い込んだ。

この商品の名を知らない日本人は、もはやいないであろう。ハイチュウは世界中に輸出されているが、日本で生産されているものはハラルになっていない。

そこで、インドネシア工場生産分のハイチュウをハラル対応することにより、販路を広げようと森永製菓は考えたのだ。

ハイチュウだけではない。西日本の食卓には欠かせないオタフクソースも、先月マレーシアでのハラル対応商品の生産に踏み切ると発表した。


■紙おむつも認証取得

ハラルは食品だけに限らない。人の肌に触れるものは、常にノンアルコールが求められる。

「病院での手術で消毒用アルコールを使う」という場合は緊急事態だから例外にしても、日常で使うウェットティッシュなどはノンアルコールでなければならない。つまり製紙産業にとっても、ハラル認証は重要なものなのだ。

やはり先月の話だが、大王製紙がインドネシアでハラル認証を取得した。これは紙おむつに向けたものだ。少し前に中国人による日本製おむつの買い占め騒動があったが、インドネシアでも「日本のおむつは品質がいい」と評判だ。


■本当にあったこんな事件

2014年、インドネシアで「ブルボン事件」という出来事があった。

これは日本の菓子メーカーのブルボンがインドネシアに輸出した商品の中に、豚由来成分が入っていたというものだ。そうしたものを流通させること自体はいいのだが、問題はインドネシア語の成分表示がなかったということである。

これを機にインドネシア政府は、商品にインドネシア語訳ラベルの貼り付けを徹底させるようになった。またそれにより、製造のローカライズ化を各外資企業に勧める動きも出てきた。

今に至る「ハラルブーム」も、そうしたきっかけによるものだ。企業にとっても、現地でハラル対応商品を生産したほうが確実性に富んでいる。

いずれにせよ、この分野でのビジネスチャンスは我々の目の前に大きく広がっているのだ。

(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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