「連帯責任は日本の悪しき伝統」 三菱野球部の活動自粛にファン激怒
三菱自動車の燃費データ不正問題は、新たな局面に突入している。軽自動車部門で協力関係にある日産自動車が2000億円を出資し、傘下に収める方向で調整中。
一連の不祥事で一時は会社存続の危機もささやかれたが、一応、生き残ることはできそうである。しかし、コストカッターといわれるカルロス・ゴーン氏がトップになるだけに、はやくもリストラを危惧する声が噴出している。
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■部活動にとばっちり
そんななか、とばっちりを受けたのが三菱自動車の野球部だ。5月末に開催される都市対抗野球の予選を倉敷オーシャンズと岡崎硬式野球部がそれぞれ辞退。秋の大会についても出場未定となっており、選手たちは失意のなか社業に専念している状態である。
会社側は「多くの関係者や地元の方に、多大なご迷惑をおかけした。地域一体となって応援を受けることができる状況にない」と説明しているが、選手に直接的な非はなく、活動自粛は連帯責任をとらされた形だ。
■連帯責任には批判も
このような連帯責任は、日本独自の文化とされる。とくに学校では、1人の不始末の責任を全員がとらされることがあり、不満の声が多い。
ちなみに、しらべぇ編集部が「学生時代に理不尽だと感じたのはスマホ持ち込み禁止か、それとも連帯責任どちらか」と調査したところ、8割が「連帯責任」と回答。
分別のついている社会人の組織が今回のような措置をうけては、理不尽との声がでても仕方がない。
■現場からは恨み節
三菱自動車野球部のファンというYさんに、今の心境を聞いてみると…
「都市対抗野球で上位を狙っていこうという思いが今年は強かった分、一部の組織のせいで活動自粛に追いやられたのは、正直裏切られた気持ちです。
たしかに会社のやったことは社員として無関係ではありませんが、野球部の人間は今回の事件にはまったく関与していません。プロを目指している選手の夢や都市対抗野球にかけるベテラン選手の気持ちが打ち砕かれたことについて、悲しさもむなしさも通りこして、呆然としています。
個人的には『会社が悪いことをしたから活動自粛』というのは日本人の誤った固定観念に思えます。社員にまったく責任がないとはいいませんが、野球に情熱を傾けている人間やそれを楽しみにしているファンが失望しているということも、知ってもらいたいです」
高校野球で連帯責任が発生すると同情の声が乱れ飛ぶが、企業スポーツにおいてそのような声は皆無だ。しかし、夢や楽しみを奪われ悲しんでいる人もいるということを忘れるべきではない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年11月20日~2015年11月24日
対象:全国20代~60代の男女1371名(有効回答数)