アスペルガー夫にストレス…「カサンドラ症候群」の実態
「カサンドラ症候群」をご存知だろうか。これは、「人の気持ちを理解するのが苦手」とされるアスペルガー症候群の配偶者との関係に苦悩しても、他人に理解してもらえずに抱える心身のストレス症状をいう。
大人の発達障害については気づかない場合も多いが、「自分にもあるのではないか」と思い当たる人もいるようだ。しらべぇ取材班は、カサンドラ症候群だという人たちに話を聞いてみることに。
■ 60代女性「夫の性格に振り回された日々」
・夫の特性と周りへの影響
「夫には、『記憶力が異常にいい・失礼なことを平気で言う・会話が成り立たない・傷つきやすい・自分の立場をわきまえない・創作系の仕事はハイレベル・純粋』という面がありました。
結婚当初は優秀な設計者でしたが、コミュニケーションが必要な営業職に転職し、人間関係のストレスを抱えると『依存的・承認欲求が強い性格』になり、飲酒とDVに発展しました」
・妻の対応とストレス
「話の通じない夫に疲れてしまいました。『夫が暴れないようにすること』に明け暮れ頭がまわらなくなり、ストレスから胃潰瘍に。自分自身が思考停止の状態になってしまった期間が、非常に辛かったです」
■30代女性「マニュアル人間の夫を前に、ひとりで頭を抱えた日々」
・夫の特性と周りへの影響
「夫には『想像力がない・指示がないと動けない・無表情・数字の丸暗記が得意・しつこい・自己管理できない』という面が目立ちます。
新しい用事をひとりで行なうたびにトラブルを起こすので、周りは尻拭いをすることに。仕事は企画系が合わず、ルーティンワークの職種に転職しました」
・妻の対応とストレス
「すべての作業にマニュアルなみの説明が必要で、常に2人分の脳を使う状態が毎日続きました。気が休まることがなく、涙が止まらない症状の自律神経失調症に。
離婚した今では、アスペルガーで立派な人も多いと知りました。とはいえ『カサンドラ症候群は、夫婦のみならず、職場内でも似た状況になるのでは?』と心配することもあります」
あくまで一例でもあるが、カサンドラ症候群は自分では理解しにくく、ひとりで抱えこんでしまいがちのようだ。 最近は書籍や自助グループがあり、結婚生活に活かしている例もある。心当たりがある人は、参考にしてみてはどうだろう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・大空美南)