息子との男ふたり旅【溜池ゴローの子育てコラム】

2016/05/18 19:00


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ワシは、息子が小学校3年生の頃から、男同士でふたり旅に出かけている。今まで、大阪、京都、仙台、鹿児島と、計4回出かけた。どれも1泊ないしは2泊の小旅行である。

いちばん最初の男ふたり旅は、大阪である。きっかけは……

ワシの古くからの友人に、元漫才師で現在は関西にある山の中で農家を営んでいる友人がいる。その友人はとても面白い男で、若い頃から世界中を放浪し、興味深い冒険話をたくさん持っている。

その男は子供好きで、たまに東京に出て来て、ワシら家族に会いに来た時には、ワシの息子に面白話をたくさん話して聴かせる。当然、子供であるワシの息子は、彼の面白話に目を輝かせながら聴き入ることになる。


■男ふたりでの旅が決まった!

息子が小学校3年生になったとき、その友人から

「ゴールデンウイークに遊びにきいへんか?」


と連絡があった。当時、その期間、ワシの妻は官能小説の締め切りに追われており、どうせだから、ワシと息子で初の男ふたり旅に出かけようということになった。

大阪と聞いた息子は、突然目を輝かせた。もちろん、「面白い話をいつもしてくれるオジさんに会える」ということもあるのだが……

その頃、息子が夢中になっていた事柄の中に、「岡本太郎」と「ジェットコースター」の2項目があった。大阪と聞き、息子は、「太陽の塔」と「ユニバーサルスタジオジャパン」を即座に頭に思い浮かべた様子だ。


■大阪を楽しみ尽くす

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初日・友人宅の農家で過ごして1泊→2日目・万博広場で太陽の塔を見た後、道頓堀で1泊→3日目・ユニバーサルスタジオジャパンでジェットコースターに乗ってから帰京……

ワシと息子の初男ふたり旅は、こういったコースだった。 農家である友人の家は、山の中にある。夜になると、あたりは真っ暗になり、シーンと静まり返る。

友人は、ビールを呑みながら、面白話を話し、息子は目を輝かせて聴き入る。友人の話は、世界中で経験したことから、不思議な経験の話まで多岐に渡る……

……ボルネオ島のジャングルで出会った「吹き矢族」の女性に惚れ込み、日本を捨てて「吹き矢族」になろうとしたことや、ピラミッドの頂上に登り警備隊 に発砲されたことなど……

それだけではない。 飛行機の窓から雲海を龍が泳いでいるのを見てしまったり、富士山に登って天狗と遭遇し、団扇で煽られ死にそうになったり、高校生のときに山の中で砂掛け婆に砂をかけられたり……

もちろんワシが見たのではないので、真実かどうかは本人のみ知ることだが、その男の話はあまりにも面白く、息子にとれば、ワクワクしてしまう話ばかりだ。


■家族という基盤

ワシは、その光景を見ながら、息子の中に「冒険心」や「好奇心」が育まれていくような気がして、冒険話を息子に面白く話してくれる友人に心の中で感謝し続けた。

ワシは思う……男の子の冒険心を育むのは、「親からの無償の愛情」と「ワクワクするような体験記」だと。

親の愛情を十分に与えられる家族という「基地」があるからこそ、子供は安心して外の世界や未来を思いっきり想い描くことができる。そこに健全な「独立心」や「冒険心」が芽生えるのだ。

息子は、友人からの冒険話をたらふく聴き終えると、まるで脳みそに栄養をいっぱい蓄えた満腹状態のような様子で、布団に入り、寝息をたてだした。

夢の中で、どんな冒険をしているのだろう。 ちなみに、息子が眠ってからは、今度はワシが友人の恋愛相談にのることになった(笑)

翌日は、いよいよ息子にとって憧れの岡本太郎の最大作品・太陽の塔を観に行く……

ということで、今回は以上。

(文/溜池ゴロー

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