シー・シェパードの巨大スポンサー!ロンドン市長選敗北者の素顔
先日実施されたロンドン市長選挙は、まさにドラマチックな展開となった。パキスタン系イスラム教徒のサディク・カーン氏が、保守派のザック・ゴールドスミス氏を破り見事当選したのだ。ロンドン史上初めてのムスリム市長が誕生した。
これは日本人にとっても注目すべき選挙だった。なぜなら、カーン氏と競り合ったゴールドスミス氏はあの悪名高いシー・シェパードの最大スポンサーだからだ。
■大財閥の御曹司
ゴールドスミス氏は、現地では有名なゴシップスターである。そもそもゴールドスミス家はヨーロッパでは有名な財閥一家で、代々金融業で莫大な富を築き上げていた。
ザックの父親ジェームズは、シティ・オブ・ロンドンとウォール街を股にかけた「荒らし屋」として恐れられていた。
そんな人物の子供たちは、いずれもパパラッチに追いかけられるようなネタを持った人物だ。ザックも6年前、自身の不倫が原因で離婚した際はその慰謝料額が話題になった。ゴールドスミス家の御曹司の離婚ともなると、数億ポンドもの金が動く。
要するに彼は、正真正銘のセレブなのだ。
■あの団体とも関係が
また、先述の通りザック・ゴールドスミス氏はシー・シェパードのスポンサーでもある。同団体の設立者である国際指名手配犯のポール・ワトソン容疑者は、毎年巨額の報酬を受け取っていることで知られているが、それにゴールドスミス氏も絡んでいるということは想像に難くない。
一方でゴールドスミス氏は、ロンドン市長選の最中に対立候補のサディク・カーン氏を執拗にバッシングした。新聞やインターネットで「カーンはISのメンバーだ」というブラックプロパガンダを流していた。
もちろんそれらの話には、まったく根拠はない。むしろそうした妄言が妄言だと発覚することにより、ゴールドスミス氏は有権者に対しての印象を悪くしてしまった。
■対象的な2人
ゴールドスミス氏は「御曹司」と書いたが、彼は同時に「不良少年」だった。少年時代は古い伝統を持つイートン・カレッジで学んでいたゴールドスミス氏だが、麻薬に手を出し退学処分を受けている。典型的な「出来の良くないお坊ちゃま」でもあったのだ。
それに比べたら、カーン氏の経歴は何もかもが真逆だ。父はバスの運転手で、母は裁縫業者すなわち針子である。自治体が用意する低所得者向け住宅で少年時代を送り、苦学の末に弁護士になった。
カーン氏の家庭はどう贔屓目に見ても、最下層のワーキングクラスから一歩も出ることはない。同じロンドン出身だが、ゴールドスミス氏とカーン氏とでは境遇に絶大な差がある。
だがそうであるが故、ゴールドスミス氏は選挙戦で低所得者向けの福祉政策を明確に打ち出すことができなかったのだ。此度の選挙結果は、まさに「本当の実力差」と言ってもいいだろう。
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